Cascade Lake-Xを軽くヒネるパワー!
冒頭の通り、今回は基本的なベンチマークでざっくりと第3世代Threadripperのパフォーマンスを見るだけにとどめたい。まずは定番「CINEBENCH R20」のスコアー比べから始めよう。
Threadripper 3970Xの圧倒的な強さたるや! 同じ32コア64スレッド対決でも、Threadripper 2990WXがCore i9-10980XE(BSC有効時)にほとんど追いつかれてしまっているのに対し、3970Xははるか上。Threadripper 3970Xのマルチスレッドスコアーは2990WXの1.5倍、24コア48スレッドの3960Xですら、約1.2倍のスコアーをあげている。
メモリークロックがDDR4-2933から3200に引き上げられただけでなく、Zen2アーキテクチャーの処理効率の高さが呼んだ勝利といえるだろう。16コア32スレッドのRyzen 9 3950Xに対して、Threadripper 3970Xのスコアーは2倍ではなく1.9倍弱に留まっているが、これは動作クロックの差と考えてよさそうだ。
さらに注目すべきはシングルスレッドのスコアーだ。Threadripper 2990WXはもちろんのこと、Cascade Lake-X世代の最上位、Core i9-10980XEをも上回る。シングルスレッド性能の優位性はインテルの絶対的なアドバンテージだったが、Zen2で完全に失われてしまった。
続いては「PCMark10」で、ゲーミング性能を除いたPCの総合性能見る“Standard”テストを回してみた。総合スコアーだけでなく、道中で計測される各テストグループ別のスコアーも比較してみよう。
このベンチマークでは第3世代Threadripperはいまひとつパッとしない。第2世代のThreadripperより高性能なのは明らかだが、Core i9-10980XEやRyzen 9 3950Xよりも総合スコアーの出が鈍い。
この総合スコアーが伸びない原因を各テストグループ別に見ていくと、どのテストグループでも第3世代のThreadripperは伸び悩んでいる。特に動画編集やCGレンダリングの性能を見るDCC(Digital Contents Creation)では、16コア32スレッドのRyzen 9 3950Xに全部負けている。
Threadripper 3960Xの方が3970Xより高スコアーを上げている点を考えても、スレッドの振り分けに問題があるか、Ryzenの電源プラン(今回もRyzen Balancedプランを使用した)のツメが甘いのか、などの原因が考えられる(SenseMIでパワーを効率よく管理できるZen2では、温度問題は考えにくいし、温度も正常範囲内だ)。この辺は製品版ドライバーが揃った次回以降に再検証してみたい。
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