Apple Watch1強の時代は
終わりを告げるのか?
Apple Watchが一人勝ちのように思われているウェアラブルデバイス市場ですが、スマートウォッチだけではなくリストバンド型デバイスも含めると、思わぬ伏兵が大きな存在感を見せています。腕に装着するタイプのウェアラブルデバイスの世界シェアトップは実はシャオミなのです。シャオミの「Mi Band」シリーズは3000円前後というコスパの高さから全世界で見るとApple Watchよりも売れているのです。
そして2位はアップルですが、その後を追いかけているのがファーウェイなのです。IDCの調査によると、2019年4~6月の手首装着型ウェアラブルデバイスの出荷台数はシャオミが590万台、アップルが510万台、ファーウェイが480万台でした。前年の同じ時期と比べるとシャオミは43%増と伸び、7%増に止まったアップルを抜いて1位に躍り出たのです。しかし注目すべきはファーウェイで、前年からの伸びはシャオミも驚く176%。昨年同期はわずか170万台だったものが、今年は約3倍の伸びを示しています。
アップルも毎年のようにApple Watchのモデルチェンジを繰り返しています。シャオミもMi Bandをカラー表示化しつつ価格を抑えるなど、新製品を次々と投入しています。しかし、この上位2社をファーウェイが抜き去る日は早い時期にやってくるかもしれません。
なぜならファーウェイはウェアラブルでも豊富な製品ラインナップを誇っているからです。超低価格&シンプル機能のシャオミ、高価格&高性能なアップルに対し、ファーウェイはどちらの製品も持っているのです。リストバンド型端末の「HUAWEI Band 4」はカラー表示対応、本体から直接USB充電可能と使い勝手も高く、日本での価格はわずかに4900円です(税抜、以下同じ)。これならお試し用に買ってみようと思える価格ではないでしょうか。
一方、スマートウォッチの最新モデル「HUAWEI Watch GT2」は46mmモデルが41g、42mmモデルならわずか29g。eSIM内蔵のセルラーモデルはないものの、上品な質感とデザイン、そして活動量計やスマートフォンからの通知機能など十分な性能を誇りながら価格は約2万円から。Apple Watchの約半額です。もちろん両者を比較すれば、価格相応の機能差があります。しかし、HUAWEI Watch GT2程度の機能さえあれば十分、という人も多いでしょう。
ファーウェイはこのほかに中国で普及が進む子供向けのスマートウォッチも複数を展開。子供向けウォッチは大人向けの製品とは異なり「4Gによる常時接続」や「安否確認のカメラ」が必須ですが、スマートフォンメーカーで本格的に手掛けているのはファーウェイだけです。
このように3つのライン(うち1つは中国の子供向け)を持つファーウェイのウェアラブルデバイスは、1年に1~2回のモデルチェンジを繰り返して進化を続けてきました。ユーザー数が増えることでそこからのフィードバックを生かし、新製品が出るたびに「欲しい!」と思わせてくれる機能を搭載してくるのです。
HUAWEI Watch GT2は前モデルから「トレーニングワークアウトの追加」「46mmモデルに通話機能(Bluetooth接続)」「ストレス状態をモニタリングできるHUAWEI TruRelax機能搭載」「46mmモデルで最大2週間、42mmモデルで1週間の電池駆動」といった改良がされています。
ファーウェイの急成長に慌てたのか、シャオミもこの11月から本格的にスマートウォッチの参入を始めました。シャオミは関連会社からスマートウォッチを出していましたが、自社ブランドの製品はApple Watchによく似たスクエアなディスプレーを採用、価格の低さで勝負をかけようとしています。
ファーウェイは腕時計そのもののデザインをしたスマートウォッチでシェアを伸ばしていますが、その完成度が高いことから競合製品で勝負することを避けたのかもしれません。実際、ファーウェイのスマートウォッチは中国でも売れ行きはかなりいいと聞きます。
ウェアラブル市場全体の話に戻ると、ファーウェイの次に位置するのはFitbit。グーグルに買収されることで、「ウェアラブル版Pixel」のような製品が出てくるかもしれません。そしてその次に位置するのはサムスン電子と、何かをやってきそうなメーカーが並んでいます。これからも成長が期待されるウェアラブル市場、ファーウェイがどこまでシェアを伸ばしていくのか注目したいところです。
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