●楽しめる人が学べばいい
── まつもとさん自身、お子さんの教育はどうされていたんですか。
子どもはいま一番下で15歳、一番上で27歳なんですが、次世代教育には成功してなくてですね……4人ともまったくプログラミングに関心がないんですよ。
── ええっ、意外な。
パソコンは使うしYouTubeは見るんですけどね。プログラミングの勉強をしてみた子も中にはいるし、松江市でやっている中学生Rubyプログラミング教室みたいなものに連れていって、ゲームを作る課題をやったんですが、家に帰って続けるかというとやらなかった。ということで、わたしは子どもにプログラミングを教えることについて、何も語る資格がないんです。
── そ、そこまでは……それにしても残念ですね。
プログラミングができたら楽しかっただろうなあ、とか、親子で問題を考えられたら面白かっただろうなあ、とは思いますけどね。とはいえわたし自身、子どものころにプログラミングに興味はあったけど、親からはむしろ「するな」「そんな時間があるならもうちょっと他にやることがあるんじゃない」と言われていたので、結局、自発的に学ばないと意味がないかな、とも思っていて。
── できる子は止められても勝手にやっちゃうわけだし。
チャンスをあげるのはいいと思うんですよね。プログラミング教室があったら「行ってみない?」と誘うとか、家のコンピューターにプログラミング環境を整えたりするとか。そこまではやっても、そこから先は子どもが自分で選ぶべきかと。自発的に興味を持ったら情報を提供したり、ガイダンスをしたり、場合によっては教えようかとは思ってましたね。
── ピアノ教室じゃないですが、親が無理にやらせてもあまり意味がないと。
プログラミングは、子どもたち自身に楽しいと思ってほしいんですよね。自分自身がそうだったので。そのために、強制的にするのはよくないと思うんです。プログラミングは楽しいものなんだけど、いろんな人と話した結果、100人が100人とも楽しいというものでもないということもわかったし。興味の方向だったり、資質だったり、性格だったりで、プログラミングが楽しいと思える人と、そうでない人がいる。だから楽しいと思えない人に対して強制的に何かをさせるというのは本末転倒じゃないか。逆に、楽しいと思ったらどんどんやればいいし、どんどん機会をあげていったらいいんじゃないかな、と思います。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。2歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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