●「みらプロ」月間の取り組み
暗号解読アプリの教材を作ったのは、深層学習技術の研究開発をしているプリファードネットワークス。担当者の西澤勇輝さんによれば、教材は実際にある機械学習の研究をもとにしたもので、子どもたちがつくった暗号リストは、手書き数字の認識精度をはかるためのデータセット「MNIST(エムニスト)」がモデルになっています。
公開授業は、文部科学省などが今年9月から推進している「未来の学びプログラミング教育推進月間」(みらプロ)の一環として実施された取り組み。国がグーグルやアップル、プリファードネットワークスなど民間企業の協力をとりつけて、プログラミングの授業に取り組んでみるよう、全国の小学校および教育委員会に呼びかけたものです。
鉾田北小学校の校長先生にみらプロをすすめたのは教育委員会の五十野亀久雄さん。昨年まで学校で校長先生をしていた五十野さんはプログラミングにも理解があり、今年から「ICT指導員」という肩書きで市内のICT教育を進めています。みらプロに興味をもったのは、今回のように面白い授業ができることを知ってほしかったからだといいます。
「プログラミング教育にはこんな素晴らしいやり方もあるんだと。Scratchで多角形を描くなんてほんの入り口。こんな素晴らしい教材を活用して子どもが喜ぶ授業ができるんだと、体験してもらいたいと思ってやっています」(五十野さん)
6年1組の授業をした生井沢敦子先生は授業をする前はやや懐疑的だったものの、いざやってみると、プログラミング体験の意義を理解できたと話していました。「子どもたちがすごく喜んでいて。こういうことをわたしたちも勉強してどんどんやらせていったほうが、この子たちがこれから生きる未来のために必要になるんだなと思いました」
6年2組の授業をした宮嶋将人先生は3年目の若手で、生井沢先生はベテラン。ICT教育は得意ではなかったそうですが、「授業を推進していくために協力してくださった方々や、詳しい先生方に教わりながらやらせてもらったことが私にとっては大きかったです」と話していました。
教師の仕事は、自分が学んだことを子どもに教えて伝えるもの。その点プログラミング教育は自分が学んだこともなければ他人の授業も見たことがないものです。子どもに対してやったことのない授業をすることは恐怖もあるはず。学校に日参し、先生たちとともに授業をつくりあげてきた五十野さんは、「やってくださった先生には感謝したいです」と話していました。