FOCUSという名のチップを5種類開発
さて、HPはこのチップを研究用に留めず、製品に持ち込むことにした。FOCUSと名付けられたこのチップ、開発そのものはFort Collins部門で行なわれたが、同じFort Collins部門中に所在するEngineering Systems部門(もともとはDesktop Computer部門のEngineering Systems Operationという部隊が独立した)がこれをベースとしたシステムを開発する。
CPUそのものは発表されたものをそのまま使い、新たにI/Oプロセッサーやメモリーコントローラー、クロックジェネレーター、それと128Kbit DRAMが新たに開発された。
画像の出典は、Hewlett-Packard Journal August 1983
システムの構成は以下の画像のとおり。I/Oプロセッサーは、上の画像の(a)と(b)を見比べていただくとわかるように非常によく似た構造になっている。
画像の出典は、Hewlett-Packard Journal August 1983
実際内部は下の画像のような構造で、プロセッサー制御部そのものはCPUの構造を流用(ただし命令数などは減らしている模様)し、その代わり周辺回路をいろいろ追加した形になっている。
画像の出典は、Hewlett-Packard Journal August 1983
メモリーコントローラーは最大256KBのDRAMまで管理可能になっており、これらのチップ(とDRAM)は、独特のカートリッジ形状でシャーシに搭載される、なかなかスマートな構造だった。

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