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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第527回

32bitプロセッサーの開発を続けたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2019年09月09日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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FOCUSの後継は
RISCベースのアーキテクチャーに

 さて、FOCUSが利用されたのはHP 9050が最後となるわけで、HP自身としてもFOCUSの後継となるチップが必要になっていた。

 加えて冒頭に出てきたHP 3000シリーズの後継CPUの開発も必要になっていた。そうなると、「これ両方同じCPUで行けない?」と考える人間が出てくるのは、当然のことであろう。

 これに向けた開発もHPの中で行なわれていた。1980年前半なので、当然流行はRISCであり、HP LabsでもRISCベースのプロセッサー開発が進んでいた。

 HP LabsがSpectrum向けに採用していたアーキテクチャーはBerkley RISCに近いもので、命令数は当然ながら16よりずっと多く、130ほどになった(今の水準から見るとこれでも十分少ないのだが)。

 ちなみに命令を決めるにあたっては、HP 3000シリーズで利用されているアプリケーションを中心に命令の利用頻度を調査し、頻度が少ない命令に関してはコプロセッサー、あるいはサブルーチン(このサブルーチンを本当に実装した最初の例が初代のAlphaである)で処理するという方針を取ったそうだ。

 1985年6月のニュースレターでは、SpectrumはNative Modeと3000 software mode(要するにHP 3000の互換モード)の2種類の動作モードを持ち、最初のSpectrumはHP 3000 Series 68比で互換モードだと2倍、Native Modeだと8~10MIPSの性能になるとされていた。

 判断が難しいが、MIPS R2000と同程度というあたりだろうか? ちなみにこのSpectrum用には新しいOSが用意されていた。

 Spectrumとは別に、一般的なCISCベースの32bit CPUの開発計画が並行して動いており、こちら向けにVisionと呼ばれるOSが開発されていた。このCISCベースのCPU計画はキャンセルになった結果、浮いてしまったVisionをSpectrumに移植しよう、という話になったらしい。

 ただSpectrumは64bitアドレス/32bitデータの構成だったので、Visionの方の書き直しも相応に発生したようだ。このあたりで、出荷期限である1986年前半を守れるのか怪しくなってきた感はある。

 ちなみに社内利用(おそらくはこのVisionの移植用)に40台のSpectrumマシンが製造された、という話もある。

 このあたりから、いろいろと噂が出始めてきたのだろう。1985年8月のニュースレターでは「いろんな噂が出ているが信じてはいけない。我々は1985年末までに(最初の)Spectrumを完成させ、1986年春には(搭載マシンを)出荷する。現在40~50台のプロトタイプがラボで稼働中であり、おおよそ700~800人のエンジニアがこれに取り組んでいる」といったメッセージが掲載されていた(続く)。

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