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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第521回

会社の規模が驚くほど拡大したHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2019年07月29日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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会社の規模が驚くほど拡大していったHP

 業界に多大な影響を与えた現存メーカー HP編で前回は1970~1980年あたりまでを紹介したが、そもそも1961年から1970年までの20年間にHP社の規模がどのくらい大きくなったのかをまとめたのが下表である。

1961年から1970年までの業績
年度 売上 純利益 売上成長率(前年比)
1961 9400万ドル 600万ドル 56.1%
1962 1億1800万ドル 800万ドル 25.5%
1963 1億2300万ドル 800万ドル 4.2%
1964 1億3500万ドル 1000万ドル 9.8%
1965 1億6500万ドル 1400万ドル 22.2%
1966 2億500万ドル 1700万ドル 24.2%
1967 2億4500万ドル 2000万ドル 19.5%
1968 2億7200万ドル 2100万ドル 11.0%
1969 3億2700万ドル 2600万ドル 20.2%
1970 3億5400万ドル 2300万ドル 8.3%
1971 3億7800万ドル 2400万ドル 6.8%
1972 4億8300万ドル 3900万ドル 27.8%
1973 6億7300万ドル 5100万ドル 39.3%
1974 8億9300万ドル 8400万ドル 32.7%
1975 9億9000万ドル 8400万ドル 10.9%
1976 11億2400万ドル 9100万ドル 13.5%
1977 13億7400万ドル 1億2200万ドル 22.2%
1978 17億5100万ドル 1億5300万ドル 27.4%
1979 23億6100万ドル 2億300万ドル 34.8%
1980 30億9900万ドル 2億6900万ドル 31.3%

 連載512回で1960年までの売上を記載しているが、1960年が6000万ドル程度、これが1980年には31億ドルに達しているわけで、この20年の平均成長率(CAGR)は8.3%にも達している。

 年度別でみると、1961年の50%を初めとして、10%以上の成長率を記録したのが16年、うち12年は20%を超える成長率となっており、本当に驚くほどに同社が規模を拡大していったのがわかる。

 当然これにあわせて人員も増えている。1960年の年次報告を見ると、1960年だけで500人を追加採用し、合計で3500名の従業員となり、うち2600人が親会社(HP本体)だったのが、1970年には合計で1万6000人(うち海外子会社が3370名)、1980年には合計でほぼ5万7000人(うち米国内が4万2000人)となっている。20年で16倍もの人員になっているわけだ。

 当たり前であるが、売上の主体も次第に変わっていった。年次報告では1960年代まで部門別(製品カテゴリー別)の売上比率が掲載されていないので不明だが、1971年以降は大きく4つにカテゴリー分けした形で部門別売上が年次報告に掲載されている。これをまとめたのが下表である。

1971年以降の部門別売上
年度 Electric data products Electric Test & measurement products Medical electronic equipment Analytical instrumentation
1971 9600万ドル 2億2900万ドル 3300万ドル 1700万ドル
1972 1億5600万ドル 2億5900万ドル 4300万ドル 2200万ドル
1973 2億5600万ドル 3億2100万ドル 5600万ドル 2900万ドル
1974 3億7200万ドル 3億9700万ドル 7500万ドル 4000万ドル
1975 3億8700万ドル 4億4500万ドル 9600万ドル 5400万ドル
1976 4億7100万ドル 5億100万ドル 1億1800万ドル 6000万ドル
1977 6億100万ドル 6億1700万ドル 1億3500万ドル 8000万ドル
1978 8億900万ドル 7億8700万ドル 1億7100万ドル 1億800万ドル
1979 11億5400万ドル 10億4900万ドル 1億9600万ドル 1億2800万ドル
1980 15億200万ドル 12億3000万ドル 2億5000万ドル 1億5800万ドル
HPの各部門
部門 概要
Electric data products コンピュータ部門であるが、HP 3000シリーズなどだけでなく電卓やHP 85のような小型マシン、さらにはCRTやレーザープリンターなど、コンピューターに関係するもの一式がここに含まれる。
Electric Test & measurement products 1970年代の途中まではTest, measureing and related itemといった名称になっていたが、HPの屋台骨であった計測機器部門である。
Medical electronics equipment 医療向け電子機器(心電図や超音波診断器など各種)を扱う部門。
Analytical instrumentation これも広義には計測ではあるのだが、たとえば化学プラントなどにおけるガス/液体の成分分析やサンプリング、研究所向けの機器といった、Electric Test & measurement productsとはやや系統の異なる計測機器関連を扱う部門。

 上の表のままだと比率がわかりにくいと思うので、毎年の売上に占める各部門の比率をまとめたのが下のグラフである。

毎年の売上に占める各部門の比率

 1971年の段階では、同社の屋台骨はまさしくElectric Test & measurement productsが占めており、Electric data productsは25%ほどで、柱の1本ではあるものの、大きな比重とは言えなかった。

 ところがその後、同部門は急速に伸びていき、1978年には逆転。1980年の段階では売上の半分近くをElectric data productsが占めるという状況になる。

 表でもわかるとおり、Electric Test & measurement productsも毎年順調に伸びており、1980年には12億ドルを超える売上を立てているので、こちらの伸びも決して悪くないのだが、Electric data productsはさらに大幅な伸びを示したということである。

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