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業界人の《ことば》から 第353回

日本マイクロソフトが異例の週休3日制導入をした狙いとは

2019年07月26日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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社内の仕事は8割のクオリティーでいい

 平野社長の社長室には、紙が一切ない。そして、会議も立ったままが基本だ。こうした働き方は、日本を離れ、東欧エリアの25ヵ国を統括していたときの経験が生きている。

 「私の経験からすれば、日本マイクロソフトの社員の仕事は、やり方次第で減らすことができる」と前置きする。

 たとえば、ミーティングに参加する社員の数や、メールのCCに入っている人の数は、他国に比べて圧倒的に多いというのが日本の企業の特徴であり、日本マイクロソフトも同じだという。

 「日本では、社内の仕事に関しても、100%のハイクオリティーを目指す傾向がある。だが、社内向けの仕事は、8割のクオリティーでいい。100%を目指すと相談する量が極端に増加し、みんなを納得させたり、満足させたりするように配慮する仕事が一気に増える。結果として、時間がかかってしまうというマイナスと、出てきたアイデアは妥協案でしかないというマイナスにしかならない。

 角を削って当たりさわりのないアイデアで、会社の変革や社会の変革はできない。いい意味に仕事を雑にやることで、時間を短縮でき、エッジの利いたアイデアや提案が生まれる」とする。

 週休3日制の導入は、こうした平野社長の想いを言葉だけで伝えるのではなく、実行しなくてはならない場に追い込む荒療治ともいえる。

 「私自身も不安はある。だが、できないものではないと考えている。学びがあって、それによって変わっていればいい」と語る。

 平野社長の日常は朝から晩まで、15分や30分刻みで会議が続いていることが多いという。「8月は、なにもしない時間を1日に2時間ほど、1日おきに入れてみたいと思っている。戦略立案や振り返りなど、しっかり深く考える時間を作り、意志決定を適切なものにしたい」とする。

 一方で、自己成長の金曜日の時間を、社員自らの成長のために知識を増やしたり、家族とともに過ごす時間を増やしたりといったことにも使ってほしいという。

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