「リモートワークが認められている」は4人に1人、ヴイエムウェアの国内ビジネスパーソン意識調査
働き方改革の阻害要因は「企業文化・経営者の意識」がトップ
2019年07月19日 07時00分更新
ヴイエムウェアは2019年7月18日、日本国内のビジネスパーソン約500名を対象に3年連続で実施した「ビジネスにおけるモバイルの利用動向」アンケート調査の結果を発表した。今年4月には「働き方改革関連法」が施行されたが、スマートデバイスの業務活用は小幅な進展にとどまり、「テレワークが認められている」回答者は4人に1人。改革の阻害要因として「企業文化・経営者の意識」を挙げる回答者が最多という結果だった。
今回の調査は、業務でスマートデバイス(スマートフォンとタブレット。ノートPCは除く)を利用している20~59歳の有職者519名を対象として、今年6月にインターネット調査で実施されたもの。回答者の内訳は男性322名、女性187名で、一般社員が426名、課長職以上の管理職が93名。また発表では過去2年間の調査結果との比較も行っている。
まず「仕事で最も頻繁に使用しているスマートデバイス」についての質問では、「会社支給の端末」が43.7%(2018年:41.2%、2017年:40.8%)、「個人契約の端末(BYOD)」が56.1%(2018年:58.8%、2017年:58.8%)と、会社支給のものが微増しつつもまだBYOD端末が過半を占める。スマートデバイスで利用するアプリケーションやコンテンツ、メール、ブラウザなどを管理するモバイルソリューション(MDM/EMMなど)の導入率は32.1%(2018年:28.2%、2017年:28.4%)で、こちらも微増傾向にある。
スマートデバイスの業務使用用途については「通話」が83.6%と多くを占め、2位の「メッセージングアプリ(SMSやLINEなど)」53.6%、3位の「スケジュール管理」48.7%を大きく引き離している。「OfficeなどPCでも使用するアプリケーション」は24.9%、「会社支給のモバイル用業務アプリケーション」は13.1%とさらに少ない。その一方で「会社支給PCの社外持ち出し可否」については、持ち出し可能という回答が44.1%(2018年:43.1%、2017年:39.5%)と昨年とほぼ横ばいで、PCの社外持ち出しも進んでいない実態が明らかとなっている。
また勤務時間内に自宅など社外で勤務する「テレワーク」が認められているかという設問でも、「はい(認められている)」とした回答者は24.3%(2018年:21.8%)であり、昨年比で微増にとどまる。
政府が推進する「働き方改革」9テーマのうち、勤務先で「長時間労働の是正」に取り組んでいるとする回答が61.5%(2018年:55.5%)を占めたものの、「その是正手段として『テレワーク』の推進があまり進んでいないことが分かりました」とヴイエムウェアはコメントしている。なお「働き方改革関連法」が長時間労働の是正に有効だと思うかという設問では、「はい」が36.8%、「いいえ」が25.3%、「どちらともいえない」32.2%と、評価が大きく分かれる調査結果となっている。
「働き方改革」の阻害要因は何かという設問では、「企業文化・経営者の意識」という回答が67.2%を占め、「本人の意識」43.4%や「業務量」39.5%、「デジタル機器やサービス」9.1%を大きく上回った。ヴイエムウェアでは「働き方改革の推進にはツールではなく、経営者の意識の変革と強いリーダーシップが重要であることが分かりました」と述べている。
発表の中でヴイエムウェア 日本法人 代表取締役社長のジョン・ロバートソン氏は、「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に、柔軟な働き方に対する機運が高まる今こそ、企業が働き方改革に取り組む絶好のチャンス」と述べ、同社自身も東京オリンピック開催期間中に複数の事業所をクローズして“場所を問わない柔軟な働き方”を実践する「Work@Anywhere」の実施意向を発表している。
また今回の調査を監修したテレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏は、「企業の『働き方改革』を成功させる大きなポイントは『テレワーク』にある」としたうえで、「テレワークの価値は、もはや『子育て社員のための在宅勤務』ではなく、生産性の向上にあります。テレワークは企業にとって福利厚生ではなく、生き残るための企業戦略と言えます」とコメントしている。