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AWS Asian Women's Associationのイベントをレポート

アジアのIT女性が集合したコミュニティイベントがシンガポールで開催

2019年07月02日 07時00分更新

文● 伊藤博美 編集●大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 こんにちは。AWS Asian Women's Associationの発起人の伊藤博美です。普段はJAWS-UG関西女子会、JAWS-UG大阪、JAWS DAYS 2018などのオーガナイザーを務めており、AWS Samurai 2017 Special Thanksにもなりました。ここでは2019年6月1日にシンガポールのAWSオフィスで開催した「"Transcend to The World! Power of IT Women"」の模様をレポートします。

シンガポールのAWSオフィスで開催されたアジアのIT女性イベントをレポート

シンガポールでIT女性のコミュニティイベントを開催したわけ

 まずはこのようなイベントをなぜ開催したのかを説明させてください。AWSをはじめとするIT業界では、世界各国で多くの女性が活躍をしています。日本でもAWSの女性ユーザーグループがあり、この交流の場を通じて女性同士が多くの学びや気づきを得ています。でも、これはたった日本という小さな国の出来事にすぎません。まだまだその活躍が一部でしか取りざたされないように思います。

 また、私たちアジア圏同士が、その声を聴く機会や届ける機会もありませんでした。アジア各国はじめ、多くの企業がグローバル市場に参入する中、人と人とが深く関わることのできるコミュニティにおいても、その交流を小さな世界に留まっています。特に女性はその影に隠れてしまっているように感じます。これは非常にもったいないことであり、コミュニティ、そして女性同士だからこそもっと深くコミュニケーションを持ち、私たちの熱量を発信できたら世界はもっと変わると思います。

 もちろん、大それたことはできません。でも、女性だけでなくすべての人に参加してもらって、すべての人にこの活動を知ってもらえればと考えてAWS Asian Women’s Associationというコミュニティを発起し、アジアで輝く女性のコミュニケーションの輪や交流を深める場として、今回のイベントを企画しました。

 個人的なきっかけは、JAWS-UGの活動の中で、2016年に初めて海を渡り、韓国で合同ミートアップに参加した経験があります。実行委員長を務めたJAWS DAYS2018では、AWSを通じて海外ゲストを多く招いて、交流を深めてきました。

 その後、タイでの合同ミートアップ、ベトナムでのコミュニティデイおよびAPACコミュニティリーダーミートアップ、re:inventでのユーザーグループミートアップ(AWS User Group leaders Workshop & Networking Mixer)などに参加し、世界中の人たちと関わってきました。これらの経験を通して、自分のコミュニティ活動は日本という国やJAWS-UGといった枠にとらわれず、AWSやITを通じて世界につながれると実感できました。

 そこで、これまでの経験を活かしてイベント開催に踏み切りました。まずはアジアで感じた女性のパワーを世界中に届けたいと願い、シンガポールでの開催に至りました。前提としては、国内外のIT女性がみんなとつながって、みんなで盛り上がる楽しいことをしたい!がありました。

各国との連携はハードワークだったが、一体感が生まれた

 今回のイベントはアジア各国のユーザーコミュニティから構成されるAWS Asian Women's Associationのイベントとして開催されました。メインの運営メンバーが女性で構成されており、日本、シンガポール、タイ、フィリピン、韓国のAWSユーザーグループリーダーも集結しました。ユーザー主導での開催は初のイベントです。

 私がイベントでやったことは全体の総指揮になります。企画概要からメンバーやチーム作り、イベント構成作りなど総合的なまとめ、その他、スピーカー集め、サイトやデザイン制作、スポンサー集めなどの指示を中心に、自らもそれらの作業に携わるなどほぼすべてに関わりました。前日はシンガポールのユーザーグループのリーダーと段取りなど相談し、みんなの関係性作りの場を設けました。当日は役割や運営の段取りの作成、オープニングトークやクロージングトークを行ないました。

 今回のイベントは、アジアのIT業界で女性が働くということ、各国のカルチャー、コミュニティ、テクノロジーをテーマに、セッションやディスカッション、交流の場(ランチブレイク ビュッフェ・アフターパーティ ビュッフェ)を盛り込んだ内容としました。ある意味、テクノロジーにフォーカスしないごった煮のイベントにして、間口を拡げました。

 また、運営メンバーやスピーカーをおもに「女性」としたイベントではありますが、女性以外の人にもこの話題にぜひとも一緒に考えたり、感じたりしてほしいという願いから誰もが参加できるようにしました。

 発起人かつリーダーとして、日本でやっているようなスタイルで開催準備に取り掛かりましたが、各国との連携は想像以上にハードワークでした。これまで経験のある先駆者たちのアドバイスをもらいながら日々格闘しました。

オンライン上でみんなやりとりをしていたので、前夜祭を開いてメンバー同士の仲を深めるところからスタート。事前にAWSシンガポールオフィスのチェックもしたり、いよいよ!とテンションを上げていきました

 タイやベトナムでイベントに関わったときからうすうす感じていましたが、企画や運営スタイル、サイト制作からフォローアップなども、日本のコミュニティ文化とは勝手が少々違います。すべてユーザー主体で運営することや、スポンサーをオープンに募る文化、アウトプットを一丸となってやるなど、いわゆる日本でやっているような大型イベントは、おそらくあまりなかったんじゃないかなと。

 とはいえ、共通のパッションがあったので国内イベントよりもコミュニケーションコストはかかりますが、その反面いっぱい話すことができたようにも思います。なにより、みんなとても真面目で、協力的で、主体性があって、言葉の壁を乗り越えながら準備段階から一体感を感じていました。何よりも日本のやり方にとても関心をもって取り組んでくれたことが非常にうれしかったです。そして、日本チームメンバーの存在は、私にとってとても心強かったです。特に、当日の動きはさすが日本メンバーだと感じました。

 会場は近隣諸国のアジアのみんなが参加しやすようにシンガポールを選びました。シンガポール自体が多民族国家ということもあり、さまざまな人種の方が参加してくれました。近隣国からの参加もあり、日本では感じることがない熱量を感じることができました。人種や国、AWSユーザーというくくりだけではなく、さまざまなロールの方に出会うことができました。IT業界に務める人たちだけではなく、ジョブチェンジを考えてる人もおり、本当にいろんな人と交流できた!という感じです。

ビュッフェ形式のランチブレイク。自ずと各自会話の輪が広がる素敵な交流の場になりました

ピザとビールでカジュアルパーティ。ここでも各自今後のことや今日のこと、改めての自己紹介など思い思いに会話が弾んでました。やっぱり懇親会は本当に重要!

テクノロジー、カルチャー、コミュニティなんでもありのセッション

 さて、さっそく当日。朝のキーノートはAWS ASEANのテクニカルエバンジェリスト Donnie Prakosoさん。MLをキーにしたテクニカルなストーリーからダイバーシティ、そしてカルチャー、アジア・コミュニティの話題を展開してくれました

キーノートはAWS ASEANのDonnie Prakosoさん

 印象的なフレーズは"Having diverse teams allows us to think creatively when we're thinking of different ways of solving a problem””Innovation is a product of diversity and inclusion”これは今回のイベントにぴったりなことで、良い話だなぁ~と感動していました。

 キーノート後は、通常セッション。Community & CultureとTechnical Deep Diveの2トラックで展開しましたが、蓋を開けてみれば内容的には厳密にわかれてなかったです(笑)。最初の通常セッションは、Raqs Marasiganさん(フィリピン)とHiromi Kobayashiさん(日本)。

Raqsさんは、コミュニティへの参加を通じて多様性と包括性を達成することについてのお話

Kobayashiさんは、日本の女性エンジニアのカンパニーカルチャー、ロールモデルなどのお話

 いったんランチブレイクを挟み、午後のキーノートであるパネルディスカッション。これは絶対にやりたかったコンテンツでした。

パネルディスカッションの面々

 モデラーを務めるのは、シンガポールのリーダーLily Jangさん。パネラーは、Raqs Marasigan さん(フィリピン)、Samantha Lim さん(シンガポール)、Aya Komuroさん (日本)、Kittaya Kanchanobhas さん(タイ)の4名。パネラー勢の等身大のその人がわかるような共感を与えるセンテンスから始まり、サラリーの話題やそれぞれのロール目線での話など、非常に興味深いディスカッションとなり、そして会場全体が熱心に耳を傾けるなど有意義な情報交換の場となりました。日本代表のKomuroさんは異彩を放ってて、会場からたびたび笑いが起こってました。

 そして、午後のキーノート後は再び通常セッションタイム。Maria Lilさん(シンガポール)とKittaya Niennattrakul(Tak)さん(タイ)でスタート。Mariaさんを囲んでみんなに質問形式のディスカッションミートアップ。このスタイルは日本ではみかけることがないでしょう。

Mariaさんは、COOの彼女ならではの視点の話はとてもパワフルでした

タイのリーダーでもあるTakさんはAWS Glueの話。個人的に彼女のテクニカルな話を聞くのは今回が初めてで新鮮でした

 次に、Elisha Tanさん(シンガポール)とHailey Leeさん(韓国)。Elisha Tanさんはコミュニティ“TechLadies”を創設した経験についてのお話。

Elishaさんの素晴らしいこのコミュニティに一度参加してみたいです

HaileyさんはDesign Thinkingのお話。このテーマはいろんな人に刺さったのではないでしょうか

 続いて、Lesa Tranさん(シンガポール)とAyumi Kobukataさん(日本)。

Lesaさんはリーダーシップに関するお話

小深田さんはAmazon Alexa on the Raspberry Piのお話。Alexaでクイズをするだけじゃなくて解答ボタンもかわいく作っていて、私もやりたくなりました

 通常セッションもいよいよ最後、Lily Jangさん(シンガポール)とJocylyn Syさん(フィリピン)。Lily Jangさんは、女性のイベントとして興味深い話をしていました。私たちがステレオタイプを持っていることなど彼女の経験の話を会場のみんなを巻き込む形でみんなに問いかけながら彼女は話していました。

Lilyさん、疲れる様子もなく2回目の登壇。個人的には彼女のトークスキルや登壇内容のストーリー展開など登壇テクニカル的なことも勉強になりました

フィリピンのリーダーJocyさんはLEXのお話。さすがのベテランJocyさん、楽しくディスカッション交えた登壇でした

 通常セッション終了し、最後のLTタイムへ。Gyoriは飼い猫のみすじ、はらみとそれ以外の猫をディープラーニングを使って画像で見分け、LINEから迷い猫の画像をあげればみすじかはらみかを見分けられる仕組み作りに挑戦した話。

LTトップバッターはGyori Nagafuchiさん (日本)。

続いてKayo Satoさん(日本)。海外での登壇が初めてとは思えないほどの落ち着いたトーンでばっちりヘプタゴンを紹介

LT最後はCFP応募者、シンガポール在住の日本の方Nami Nishimuraさん。彼女のハッカソン参加数には驚きました

予定していたLTの方が急遽いらっしゃらなかったので、代わりにスピーチ。 AWSシンガポールUGリーダーのSteveさん。終始私たちのサポートやアテンドをしてくださいました

新しい出会いが増え、関係が深まった刺激的な1日

 「楽しい!刺激的な1日でした!」この一言につきます。準備段階からすべてにおいて発見の連続でした。当日もセッション中以外のランチタイムやアフターパーティなど終始いろんなところでコミュニケーションが生まれていて、たくさん会話が発生している様子をみてうれしく思いました。本当に充実した時間が実感でき、これからがもっと楽しみと思わせてくれるような出会いだらけでした。

 まさにスタートをきった日であり、次回はもっとこの輪が広がること間違いないと確信しました。また、SNSで今日のことを賞賛してくれる声やDMで数名の人にありがとうメッセージをもらうなど終わってからも心の繋がりができ、非常にうれしいです。実際、スティーブさんの呼びかけで、シンガポールにも女性向けAWSユーザーグループが生まれたとのことです。海外では、みんな質問や発言を恐れない、向き合ったディスカッションができるのでとても濃い時間であり有意義です。

打ち上げです!ここで次の開催場所と時期を決めました!こういったことも懇親会のよいところです

 申し込み100人以上で当日60人の参加となり、少し残念なところもありますが、それ以上に新しい出会いとまたさらに関係が深まった仲間がいて本当に幸せです。これからが本当に楽しみでならないです。今回一緒にできなかった国のUGには次回はぜひjoinしてもらえるようにがんばります。

 ちなみに、当日の時間コントロールが流動的だったのは海外ならではかもしれないです。終わってみると、最初は当日感動しすぎて泣くんじゃないか?と思ってましたが、意外とそこはあっさりで、達成感はあるがやりきった感があまりなく、みんなへの感謝と同時に次の目標や「次はこうしたい」が上回った自分がいました。

 次はタイです!アジアで開催するときはベストシーズン(雨期を外す)1月あたりで予定をしています。お楽しみに!

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