「RPA DIGITAL WORLD TOKYO 2019」で開催、グランプリはテレビ朝日/テレビ朝日サービスチーム
RPAの業務ロボ開発コンテスト、企業3チームがアイデア競う
2019年06月12日 07時00分更新
2019年6月7日、東京国際フォーラムで開催された「RPA DIGITAL WORLD TOKYO 2019」では、RPAユーザーが出場し、開発したロボットによる業務解決策、技術、発想のオリジナリティなどを競い合う「WORK ROBOT CONTEST 2019 ~ワクロボ!~」決勝が催された。
企業対抗戦部門では西部ガス情報システム、ウォンテッドリー(Wantedly)、テレビ朝日/テレビ朝日サービスの3チームが出場。それぞれ8分間のプレゼンテーションを行い、RPAの導入によってそれぞれが抱えていた業務課題をどう解決してきたのかを紹介した。以下、各チームの発表内容や審査員からの講評をお伝えする。
西部ガス:経理の長時間残業を削減するため仕訳入力作業をロボット化
福岡市に本社を置く西部ガス情報システムからは、経営企画部の向 美智郎氏、西山裕太氏が登壇した。同社は都市ガス事業者である西部ガスのIT子会社であり、西部ガスグループ全体の情報システム開発や運用などを担っている。
経理グループに所属する両氏が紹介したのは、経理業務における大量の仕訳入力作業を正確かつスピーディに行うロボット「メロン2号」だ。
RPA導入前は、月次決算期および四半期決算期ごとに、経理グループが手作業でExcelから会計システム(勘定奉行)への転記入力を実施していた。数百もの仕訳項目があるため入力ミスが起きやすく、また決算期ごとの長時間残業の原因にもなっていた。また別の課題として、費用については各部門で事務担当者が紙の請求書から会計システムに手入力する仕組みだったため、こちらでも時間がかかり入力ミスも発生しやすいという実態があった。
両氏は2017年度、RPAの社内ワーキンググループに参加したことをきっかけに、こうした業務をRPAで自動化し、経理グループにおける長時間残業の解消と入力ミスの抑止を実現することを思い立った。ただし当時はまだ、ベテラン経理社員からはロボットの信頼性に対する疑問や、業務プロセス変更への不安の声も聞かれたという。
西山氏が中心となって作成したメロン2号は、Excelの定型フォーマットに入力された内容を会計システムに仕訳入力する(CSVファイルに変換しインポートする)ロボットだ。特定の共有フォルダに新たなExcelファイルが保存されれば、それをメロン2号が処理したうえで実行済みフォルダへ移す。処理完了やエラー中断といった処理結果は、担当者にメールで通知される。また紙の請求書処理も自動化するため、OCR処理を行うクラウドサービスを使って請求書をテキストデータ(CSVファイル)化し、それを別のロボットで定型Excelファイルに変換したうえでメロン2号に受け渡し、会計システムへ入力させる。
残念ながら、実際の動作デモを披露し終えた時点でプレゼンテーションが時間切れとなり、導入後の効果などを聞くことはできなかった。
審査員総評の中で日本RPA協会 代表理事の大角暢之氏は、RPAが最終的に解決すべきは労働問題や社会問題といった“人の問題”であり、特に労働人口減の問題に直面する地域では危機感の裏返しとしてRPAや自動化に対する期待も高いと説明。長時間残業の解消を掲げた西部ガスの取り組みは、「そうした地域の取り組みに勇気を与えるもの」だと感想を述べた。