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「RPA DIGITAL WORLD TOKYO 2019」で開催、グランプリはテレビ朝日/テレビ朝日サービスチーム

RPAの業務ロボ開発コンテスト、企業3チームがアイデア競う

2019年06月12日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ウォンテッドリー:スカウトソーシング自動化、誤動作防止や検索キーワード推奨にアイデア

 転職SNSを運営するウォンテッドリーからはDigital Integrationチームの震明徹哉氏が登壇し、「スカウトソーシング」業務として日次で行っていた登録者の検索/リスト化/メール送信という一連の操作をロボット化し、自動化で浮いた時間をより生産性の高い業務に活用していることを紹介した。

ウォンテッドリー Digital Integrationチームの震明徹哉氏

 スカウトソーシングとは、求人企業がWantedlyなどのサイトを使い、自社の要件に合う求職者を検索して見つけ、直接スカウトメールを送って面談などを呼びかけるというダイレクトリクルーティングの手法である。ウォンテッドリーではこれまですべて人手で、求人企業が指定した条件で検索を行い、スカウト対象者をコピー&ペーストでリスト化したうえでスカウトメール送信を行っていた。しかしこの作業は毎日行うものであり、手作業では工数がかかる、二重送信などミスが起きやすい、深夜などに送信すると登録者に敬遠されるため作業時間に制約があるといった課題があった。

 そこで、定型作業の多いこの業務を自動化することにしたと震明氏は語る。Excel Onlineで作られた入力シートに検索条件を入力し(and/not検索などにも対応)、ロボットを実行すると前述したような一連の定型作業が自動で実行される仕組みだ。

今回RPAで自動化した作業と実装した機能の概要。スカウトメールの誤送信防止機能や、キーワード解析による追加キーワードの推奨機能も備える

デモ画面(検索条件の指定、検索結果からリスト化されたスカウト対象者)

 スカウトメールの誤送信(別の登録者に送るなど)は重大な問題となってしまうため「誤送信防止」機能を備えている。具体的にはスカウト対象者のリストを作成する際に、データの各項目に対象者固有のIDを埋め込むことで、万が一自動処理中にExcelの表が崩れてしまった(行がずれてしまった)場合にはスカウトが送信されない仕組みにしているという。

 また「RPAの使い道を広げたい」という理由で、形態素解析エンジンと連携させてキーワード解析機能も実装している。これは過去にスカウトメールを送信したユーザーのプロフィール文章から、特徴的なキーワード(スカウト対象になる人の特徴)を抽出することで、新たに検索条件として追加するよう推薦するというものだ。

 震明氏は、このロボットで定型作業の工数を削減したことで時間が捻出され、キーワード解析機能も活用することで、「どんなキーワードで検索すればどんな人に出会えるか」「どんなスカウト文章にすれば返信率が高いか」といった高度なスカウト戦略を実践できるようになったと述べた。今後はさらにデータ分析機能を充実させたいと語る。

形態素解析エンジン「mecab」と連携させ、過去のスカウト対象者のプロフィール文章から特徴的なキーワードを抽出。検索条件にそのキーワードを追加するよう推奨する

 審査員総評でTECH.ASCII.jp編集長 大谷イビサは、RPAでも形態素解析技術を取り入れるなどすれば技術的な広がりがあることを実証している一方で、誤送信防止などはシンプルな仕組みで手堅く実現していると指摘。さらに、ロボットによる自動化で捻出した時間を使い、人間はスカウト文章をより練り上げるという「本来人間がやるべき仕事」に注力しており、ロボットと人間の役割分担がうまく考えられていると評価した。

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