アビームコンサルティングは12月7日、RPAに関する報道関係者向け勉強会を開催した。国内企業のRPA導入に関する最新調査結果を紹介しながら、業種/企業規模を問わず、RPA導入のすそ野が広がりつつあることを明らかにした。「一部部署から導入スタートしたRPAを全社展開するためには」など、先行導入企業に見られる“悩み”とその“処方箋”についても解説した。
RPA導入は加速、中堅中小企業でもRPA導入の検討フェーズに
今回公表された調査は、日本RPA協会およびアビームへのRPA導入に関する「問い合わせ」(1321件)と、「BizRobo!」を提供するRPAテクノロジーズおよびアビームの「導入実績」(151件)を組み合わせ、国内企業におけるRPA導入動向の実態把握を図る目的で実施したもの。2017年7~9月の調査結果であり、前回調査(2017年1~6月期)との比較も行っている。
勉強会に出席したアビーム 執行役員の安部慶喜氏は、調査結果の概要と、そこからわかる国内企業のRPA導入動向を説明した。「RPA導入の加速」「RPA検討のすそ野の広がり」「短期間での導入の増加」「業務工数の高い削減効果」といった動きがわかるという。
まず、RPAの導入件数は前回調査よりも大きく加速した。あくまでもRPAテクノロジーズとアビームにおける数字だが、前回は「約35件/月」だったものが今回は「約50件/月」に増加している。安部氏は、この拡大ペースが続けば2018年末には累積で導入1000件を超える見通しであり、後述のとおり中小企業からの問い合わせ件数も増えていることから「来年度には累積で2000件もありうる」と語る。
RPA導入に関する問い合わせ企業の内訳を見ると、メーカー(製造業)の比率がさらに高まり「ほぼ東証一部の業種構成比率になった」という。これにより、金融業やサービス業など特定業種が先行するフェーズから、業種を問わずRPA導入を検討するフェーズへと移行したことがわかる。なお最新調査では、実際に導入した企業の内訳でもメーカーが最大となっている。
また従業員規模別のデータを見ると、従業員1000名未満の中堅中小企業からの問い合わせ比率が、前回の47%から60%へと大きく伸びた。また売上規模別データでも、500億未満規模の企業が53%から62%へと伸びている。
安部氏は、特に「300名未満の中小企業がけっこう増えている」(25%→33%)ことを指摘し、RPA導入への関心が企業規模を問わず高まっていることを説明した。ただし、導入企業の内訳では1000名未満の比率は40%と変化しておらず、中堅中小企業の多くが検討段階にあることを示唆している(500億未満企業の導入は31%→38%と増加)。
RPAを導入した企業の96%では「5割以上」の業務工数削減が実現している(本稿冒頭のグラフ)。「9割以上」とした企業が40%、「8割」も28%を占めるなど、導入効果は非常に高いと言える。
RPAの適用業務については、バックオフィスのみならずフロントオフィスでも活用が進んでいることがわかった。安部氏は、前回調査ではPoCも兼ねたシステム系業務での適用が高かったが、今回調査では経理/財務系業務がトップになったことを指摘した。「経理/財務部門ではExcel業務などが多く、CFO(最高財務責任者)がそこにイシュー(課題)を感じている。実際、アビームが導入支援する中でも、こうした業務への適用案件が多い」(安部氏)。
なお、RPAの導入期間(業務ヒアリング~導入完了までの期間)については「4週間以内」が77%を占めた(2週間以内:29%、4週間以内:48%)。これも、前回調査よりは「さらに短期化している」と安部氏は説明した。