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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第47回

tvOS 13で打ち出された戦略を読み解く:

アップルはサブスク時代「Apple TV」をどう売るか

2019年06月12日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●Apple TVプラットホームはどっち?

 スティーブ・ジョブズが「ホビー」(趣味)としてデバイスとしてのApple TVを登場させました。2010年のイベント「All Things D」に登壇したジョブズは、その真意について問われて、「成功が見込める市場がない(There's no viable market)」と答えていました。しかし2011年にApple TVは、ストリーミングデバイスの3分の1を占める存在となりました。ひとえに、iTunesでの映画販売とレンタルが大きかったと考えて良いでしょう。

 Statistaによる2017年のストリーミングデバイス所有調査によれば、スマートテレビの25.2%、ゲーム機の23.7%、Wi-Fi対応Blu-rayドライブの10%とAV機器が続き、Amazon Fire TV 9.2%、Apple TVの8.9%、Roku Streaming Deviceが同率8.9%、Google Chromecastが8.7%、Roku Streaming Stickが5.8%というランキングになっています。インターネット接続のセットトップボックスとして、Apple TVは2位。すでにプラットホームとしては有力な位置に着けていると言えます。

 しかし、アップルはこれではダメだと考えたようです。

 アップルはアプリとしてのApple TVを、サムスン、LG、ビジオ、ソニーの主要テレビメーカー向けに配信することを発表しました。また、Amazon Fire TVやRokuといったストリーミングデバイスでも利用できるようにしました。Apple TV単体では9%に満たないシェアですが、このシェアを2~3倍に高めることができるようになります。 Apple TVアプリを窓口に、Appleのテレビサービスを展開していく素地は整いました。ある種、Apple TVのプラットホーム戦略は、むしろ他社製デバイスを巻き込むApple TVアプリが主役になりそうです。

 テレビ向けのアプリ開発環境という位置づけのtvOSは、スケールの面ではApple TVアプリより弱い存在なのです。

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