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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第47回

tvOS 13で打ち出された戦略を読み解く:

アップルはサブスク時代「Apple TV」をどう売るか

2019年06月12日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●基調講演の盛り上がりはコントローラー

 tvOS 13に仕掛けられたもう1つの戦略は、Xbox OneやPlayStation 4のコントローラーをApple TVで利用できるようにしたことです。この発表に会場は大いに湧き上がりました。

 これまで、Apple TVでゲームをプレイする場合、付属してくるApple Remoteを用いるか、SteelSeries Nimbusワイヤレスゲームコントローラーなど限られた選択肢から選ぶゲームコントローラーを使うしかありませんでした。ここでXboxとPS4のコントローラーをサポートした意味は非常に大きいものになります。

 PlayStation 4の2019年3月までの累積販売台数は世界で9400万台、Xbox Oneは4200万台に上ります。両方持っている人もいますし、1つのコンソールに複数のコントローラーを用意している人もいるでしょうが、少なくとも世界中に1億3600万台以上のコントローラーが存在していることになります。Apple TVでこれを利用できるようにすることで、Apple TVでのゲームをプレイする際、新たなコントローラーを手に入れる必要がない人は大幅に増えるわけです。

 アップルは秋にゲームのサブスクリプション、Apple Arcadeをスタートさせます。iPhone、iPadはもちろん、MacやApple TVでのプレーも楽しむことができます。家にゲーム機がある人がApple Arcadeを楽しもうと思った際のハードルは、コントローラーの対応によってより下がることを意味します。

 既にApple TVを持っている人はそのままプレーを試してみるかもしれませんし、タイトルの中で是非やりたいと言うものがあれば、Apple TVを手に入れるかもしれません。アップルはそうしたニーズに合わせて、秋に新しいApple TVを登場させてもいいですしね。

 tvOS 13は、それそのものが重要なことはもちろんですが、Appleが3月に発表した各種サービスや、アップルのテレビプラットホーム戦略の中で、「ベストな体験」を揃えることができるよう、注意深く整備されていく様子を、うかがうことができるのです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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