こんにちは、さとうなおきです。2019年5月6日~8日にかけて、米国シアトルでMicrosoftの年次カンファレンス「Microsoft Build 2019」が開催されました。「週刊アジュール」では、Build前週の事前発表、基調講演での発表をまとめた「Build 2019」特別号外に続いて、Build 2019でのAzureアップデートを、インフラ編、アプリ開発編、データ編、AI/IoT編の4回に分けてお伝えします。今回はAI/IoT編です。
Azure Cognitive Services:Personalizer、Form Recognizer、Ink Recognizerなど
Azure Cognitive Servicesは、画像認識、音声認識、自然言語処理といった、AIを活用したAPIサービスです。
Build 2019カンファレンスの前週に、Azure Cognitive Servicesのアップデートが発表されていました。
- 新サービス「Personalizer」(プレビュー):パーソナル化機能をアプリに簡単に埋め込む
- Speech Servicesの「会話の文字起こし」(プレビュー):リアルタイムに会話を書き起こす
- 新サービス「Form Recognizer」(プレビュー):テキスト、キー/値ペア、表をドキュメントから抽出
- 新サービス「Ink Recognizer」(プレビュー):デジタル手書き入力、一般的な図形、インクが使用されたドキュメントのレイアウト認識
- Azure Cognitive Servicesコンテナー:Speech Services(テキスト読み上げ、音声テキスト変換)、Anomaly Detector、Form Recognizerをサポート
- Speech Servicesの「ニューラルテキスト読み上げ」(Neural Text to Speech)(GA)
- Computer Visionの「読み取り」(GA)
- Text Analyticsの「名前付きエンティティの認識」(NER)(GA)
- QnA Makerの「複数ターン会話」(プレビュー)
- Language Understandingの「ロール」、「新しい分析ダッシュボード」、「動的リスト」
詳細は、次のページをご覧ください。
- 更新情報「Azure Cognitive Services の新しいサービスと機能」
- 更新情報「一般提供になった Azure Cognitive Services の機能」
- 更新情報「Azure Bot Service の新しい拡張機能 QnA Maker のプレビュー提供」
- ブログポスト「Azure Cognitive Services の新機能をご紹介」
- ブログポスト「AI-first content understanding, now across more types of content for even more use cases」
- ブログポスト「Accelerate bot development with Bot Framework SDK and other updates」
- ブログポスト「AI をすべての開発者とすべての組織にとって現実のものとする」
Azure Bot Service:アダプティブダイアログ、言語生成など
Azure Bot Serviceは、チャットボットの開発フレームワーク「Microsoft Bot Framework」ベースのチャットボットをホストするためのサービスです。
Build 2019カンファレンスの前週に、Azure Bot Serviceのアップデートが発表されていました。
- アダプティブダイアログ(プレビュー):より洗練された動的な会話を作成
- 言語生成(プレビュー):スマートで動的なボット応答の作成を簡素化
- エミュレーターの改善:Bot Inspector機能(プレビュー)で、デバッグチャンネルの忠実性が向上
- Bot Frameworkのスキル(プレビュー):新しいテンプレートでスキルを構築し、そのスキルをボット/仮想アシスタントに簡単に接続
- 「エンタープライズテンプレート」(Enterprise Template)が「仮想アシスタントテンプレート」(Virtual Assistant Template)に
- QnA Maker向けのBot Framework v4テンプレート(プレビュー)
詳細は、次のページをご覧ください。
- 更新情報「新しい一連の Azure Bot Framework 拡張機能が利用可能」
- 更新情報「Azure Bot Service の新しい拡張機能 QnA Maker のプレビュー提供」
- ブログポスト「Bot Framework SDK と最新機能でボット開発を加速」
- ブログポスト「AI をすべての開発者とすべての組織にとって現実のものとする」
Azure Search:Cognitive Searchなど
Azure Searchは、フルテキスト検索サービスです。
Build 2019カンファレンスの前週に、Azure Searchのアップデートが発表されていました。
2018年5月のBuild 2018カンファレンスでパブリックプレビューになっていたAzure SearchのCognitive Search(コグニティブ検索)機能が、GAになりました。
Cognitive Searchで、次の新機能も提供されました。
- プレビュー時に比べて、最大30倍高速に
- 複雑なデータ型をサポート
- 事前構築済みスキルを拡張
- Knowledge Mining Solution Acceleratorを提供
- 「Knowledge Store」機能(パブリックプレビュー)
詳細は、次のページをご覧ください。
- 更新情報「Azure Search の Cognitive Search 機能が利用可能」
- ブログポスト「AI-first content understanding, now across more types of content for even more use cases」
- ブログポスト「AI をすべての開発者とすべての組織にとって現実のものとする」
生データセットには、表形式の行セットに整然と分解できない階層型や入れ子になった下部構造が含まれることがあります。Azure Searchで、保存して検索できるデータの種類をネイティブで拡張できるようになりました。
Azure Machine Learning:自動機械学習UI、ビジュアルインターフェイス、MLOpsなど
Azure Machine Learning(Azure ML)は、機械学習の開発と実行のためのプラットフォームを提供します。Azure Machine Learningには、Azure Machine Learning Studio、Azure Machine Learningサービスという2つのサービスがあります。
Build 2019カンファレンスの前週に、Azure Machine Learningサービスのアップデートが発表されていました。
Azure Machine Learningサービスで、次のアップデートが発表されました。
- モデルの解釈可能性(GA)
- 自動機械学習(Automated ML):予測(GA)、Azure Databricks/SQL Database/Cosmos DB/HDInsight統合、説明可能性(GA)
- .NET 統合:ML.NET 1.0
- Azure DevOpsでの実験、パイプライン、モデル登録、検証、デプロイのサポート(MLOps)
- ONNXランタイム:NVIDIA TensorRT実行プロバイダー(GA)、Intel nGraph実行プロバイダー(パブリックプレビュー)
- FPGAベースのハードウェア高速化モデル:クラウド上のモデル(GA)、Azure Data Box Edge上のモデル(プレビュー)
- Azure Open Datasets(プレビュー)
- ビジュアルインターフェイス(プレビュー):Azure Machine Learning Studioに似たGUI
- 自動機械学習(Automated ML):UI(プレビュー)
- ノートブックVM(プレビュー)
- MLflow(プレビュー)
詳細は、次のページをご覧ください。
- 更新情報「Azure Machine Learning の新機能を提供開始」
- 更新情報「Azure Machine Learning の新機能のプレビュー提供」
- ブログポスト「Azure Machine Learning の最新アップデート: ML ライフサイクルの簡素化と加速を実現」
- ブログポスト「Automated Machine Learning UI で AI を簡素化」
- ブログポスト「新しい MLOps 機能を利用して機械学習モデルを運用環境に移行する」
- ブログポスト「Visual interface for Azure Machine Learning service」
- ブログポスト「AI をすべての開発者とすべての組織にとって現実のものとする」
IoT Plug and Play:発表
Build 2019カンファレンスの前週に、IoT Plug and Playが発表されていました。
IoT Plug and Playは、IoTデバイスをクラウドにシームレスに接続するための、オープンモデリング言語です。IoT Plug and Playは、今夏にプレビューになる予定です。
- 更新情報「Build での IoT プラグ アンド プレイの発表」
- ブログポスト「Azure IoT at Build: making IoT solutions easier to develop, more powerful to use」
- ブログポスト「データ、IoT、および複合現実にわたるインテリジェント エッジのイノベーション」
Azure IoT Central:IoT Plug and Play、最近の新機能
Azure IoT Centralは、IoTデバイスを接続、監視、管理するためのフルマネージドのSaaSソリューションです。
Azure IoT Centralは、IoT Plug and Playをサポートする予定です。現在、Azure IoT Centralは、(IoT Plug and Playデバイスモデルに含まれる予定の)モデリングプロパティ、テレメトリ、コマンド、セマンティック型をサポートしています。
Azure IoT Centralの最近の新機能が、まとめられています。
- ルールとアラート:Azure Stream Analyticsベースのルールエンジン
- 視覚化:複数のダッシュボード、データ視覚化
- コネクタ:デバイスブリッジ、継続的データエクスポート
- パーソナル化:カスタムブランディングなど
- デバイス管理:デバイステンプレートライブラリなど
詳細は、次のページをご覧ください。
- ブログポスト「Build with Azure IoT Central and IoT Plug and Play」
- ブログポスト「Azure IoT at Build: making IoT solutions easier to develop, more powerful to use」
Azure IoT Edge:Kubernetesサポートなど
Azure IoT Edgeは、分析やビジネスロジックをクラウド側ではなくエッジ側で実行できるようにするサービスです。
Azure IoT EdgeのKubernetesサポートが、パブリックプレビューになりました。これは、オンプレミスのKubernetesクラスターにAzure IoT Edgeのワークロードをデプロイできるようにします。
さらに、Azure IoT Edgeで、次のアップデートが発表されました。
- Linux ARM64のサポート(6月にプレビュー予定)
- 拡張オフラインのサポート(GA)
- Windows 10 IoT Enterprise x64のサポート(GA)
- x.509とSASトークンを使った新しいプロビジョニング機能
- 新しい組み込みトラブルシューティングツール
詳細は、次のページをご覧ください。
2018年12月にリリースされていた1.0.5に続いて、Azure IoT Edge 1.0.7がリリースされました。このリリースでは、Windows 10 IoT Enterprise x64のサポートがGAになりました。
Azure Maps:Mobility Service
Azure Mapsは、地図、検索、ルート検索、交通量などのAPIを提供する地理空間サービスです。
Azure Maps Mobility Serviceが、6月初旬にプレビューになる予定であることが発表されました。これは、公共交通機関ネットワークのリアルタイムインテリジェンスをアプリケーションに統合するためのAPIです。
Azure Maps Spatial Operations Serviceが、GAになりました。
- 更新情報「Azure Maps Mobility Service のプレビュー提供」
- ブログポスト「Azure IoT at Build: making IoT solutions easier to develop, more powerful to use」
それでは、また来週。
この連載の記事
-
第155回
TECH
「Ignite 2021」で発表されたAzureアップデート《AI/IoT編》 -
第154回
TECH
「Ignite 2021」で発表されたAzureアップデート《データ編》 -
第153回
TECH
「Ignite 2021」で発表されたAzureアップデート《アプリ開発編》 -
第152回
TECH
「Ignite 2021」で発表されたAzureアップデート《インフラ編》 -
第151回
TECH
「Ignite 2021」で発表されたAzureアップデート《ハイブリッド/セキュリティ編》 -
第150回
TECH
Azure CDNが準リアルタイムのログ/メトリックをサポート -
第149回
TECH
「Ignite 2020」で発表されたAzureアップデート《AI/IoT編》 -
第148回
TECH
「Ignite 2020」で発表されたAzureアップデート《データ編》 -
第147回
TECH
「Ignite 2020」で発表されたAzureアップデート《アプリ開発編》 -
第146回
TECH
「Ignite 2020」で発表されたAzureアップデート《インフラ編》 -
第145回
TECH
「Ignite 2020」で発表されたAzureアップデート《ハイブリッド/セキュリティ編》 - この連載の一覧へ