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Slack Frontier 2019でSlack CEOとのスペシャル対談

セリーナ・ウィリアムズが語るテニス、チームリーダー、成功の秘訣

2019年06月06日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集●大谷イビサ

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 グランドスラムの優勝回数は単独最多の23回、長きに渡って女子テニス界に君臨するセリーナ・ウィリアムズ氏は、テニス選手であるだけではなく、投資家、ビジネスオーナーであり、それに母の顔も持つ。そのウィリアムズ氏が4月中旬、Slackが開催した「Slack Frontiers 2019」で、Slackの共同創業者兼CEOのスチュワート・バターフィールド氏と対談した。Slackと直接関係ない話がほとんどだが、偉業を成し遂げ今だに現役のウィリアムス氏の話は学ぶことが多い。

セリーナ・ウィリアムズ氏とSlack CEO スチュワート・バターフィールド氏

超が付く個人競技だったテニスは、すでにチームスポーツ

 テニスウェア以外のウィリアムズ氏の姿は想像ができないかもしれないが、この日は黒とタータンチェックのスーツ姿で登場。身長は175cmだが、ヒールを履いているのでさらに迫力を感じる。ウィリアムス氏は2018年春にファッションブランド「Serena」を立ち上げているが、着用していたのはもちろん自身のブランドの服だ。

 まずはテニスの話から。最初の記憶はテニスコート、姉で同じくテニス選手のヴィーナス・ウィリアムズ氏がテニスコートで、自分が乗った乳母車を押している写真があるという。そのぐらい、ウィリアムズ氏の人生はテニス一色だった。「父から、ヴィーナスと私で世界ナンバー1、ナンバー2になると言われて育った。信じるしかないわよね。子供だったから」とウィリアムズ氏は笑う。5人姉妹の末っ子、1才上の姉ヴィナスの後をくっついて回っていたので、「12歳の頃に、テニスをやりたくないならしなくていい、自分で決めろと父に言われたけど、ヴィーナスが『テニスをやる』というから、私もやると言った」と笑う。

 14歳でプロになり、現在37歳。この間テニスは大きく変わった。「少し前まで、テニスは“超”が付くぐらい個人競技だったけど、現在は完全にチームスポーツになった」。コーチはもちろん、フィジカルコーチ、リハビリ、メンタルコーチなどさまざまな人が選手のパフォーマンスを支える。そこでウィリアムズ氏は、「CEOになる」必要があったという。「ここから私のCEO人生が始まった。私のビジョン、私が何を必要としているのか、私の期待や目標を全員に理解してもらうために、強いチームリーダーにならなければならなかった」とウィリアムス氏。優先順位、ミッションなどが全員同じでなければ、チームとしての結束は難しいとも述べた。

 しかし、姉の背中を見て育ってきたウィリアムズ氏にとって、リーダーになることは簡単ではなかったようだ。「これまで経験したことがないこと。コンフォートゾーンから出る必要があった。たくさんミスをしたが、より良いリーダーになろうと努力を続けてきた。結果としてうまくいっていると思う」という。

批判を受け入れるための「聞く力」

 テニスで学んだリーダーシップはビジネスに活かされているようだ。ウィリアムズ氏は2014年にSerena Venturesというベンチャー投資事業をスタートし、ダイバーシティのあるリーダーシップに投資しており、ポートフォリオには30以上の企業がある。2017年にはSurveyMonkyの取締役に、2019年にはファッション中心の売買サイトPoshmarkの取締役にも就任している。このようなベンチャーとの関わりは、「楽しい」とウィリアムズ氏。なお、夫のアレックス・オハニアン(Alexis Ohanian)氏は、ソーシャルブックマークサイトRedditの創業者だ。

「新しい戦略やアイディアを考えるのは楽しい」というが、ウィリアムズ氏は「聞くこと」も大切にしている。「アイディアにクレイジーなものなどない。オープンは大切で、チームを奨励している。ポジティブなフィードバックにより全員がハッピーなチームを作ることができる」とウィリアムズ氏。ここでもコーチからの批判を受け入れて成長してきたというテニス時代に学んだことが生かされているようだ。

 「これまでたくさん批判された。私は批判を受け入れることができる」と語るウィリアムズ氏は、コーチやファッションブランドのチームには「正しくやっていることは言わなくていいから、間違っていることを教えて欲しい」と伝えているという。「テニスは競争。みんな勝つことに一生懸命になっているから、自分は一歩先に出なければならない」――そのために、批判はとても重要なのだという。「ビジネスでも同じように考える必要がある。誰も相手をズタズタに引き裂こうと思っているのではない。建設的な批判は重要。ポジティブな結果を生むには批判からスタートする」(ウィリアムズ氏)。

 大切にしているのは批判だけではない。ウィリアムズ氏はダイバーシティに対しても、「企業が最高の成功を収めるために不可欠」と述べた。特に女性比率が少ないとされるハイテク企業のリーダーは取り組む責任があるとした。

「ダイバシティは企業が最高の成功を収めるために不可欠」と語るウィリアムズ氏

 そしてウィリアムズ氏は2017年9月に長女オリンピアを出産した。「できる限りたくさんの時間を費やしている。後悔したくない。24時間も一緒にいないことは考えられない」というが、テニス選手としても現役、ビジネスもある。時間の管理とフォーカスが重要という。

 テニスについては、技術や機器がアスリートを変えている。「技術、教育などが改善し、現在30代後半、40歳でもキャリアを続けることができる」と述べる。

 ウィリアムズ氏は最後に、もっとも大切なことは「メンタル」と伝えた。「すべてはメンタル。メンタル的に克服できれば多くのことを克服できる」、個人でもチームでも、ポジティブな姿勢を持つことが大切であり、世界を良い方向に変えることにつながると述べた。

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