課題発掘と価値創造のDX向け環境づくりも
一方、同社のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みとして見逃せないのが、PoCの予算を別枠で確保。新たな開発着手の可否について、早期に判断できるようにしたことで、2018年度だけで37件のPoCに着手した。
課題発掘型のDXを「ダンゴムシ」、価値創造型のDXを「みつばち」と呼び、DX向けの環境づくりを促進したり、全役員が参加するワークショップも開催したりしている。
ダンゴムシは困っている業務のことを指し、ダンゴムシを邪魔している石を阻害要因とし、この石がなにか、石をどう取り除くかということを考えるという。
みちばちは、情報収集のみちばちと、情報提供のみちばちの2匹を使うことで、新たなサービスを創出する取り組みを指すという。さらに、イノベーション発掘キャンペーンをANAグループで展開。すでに327件の応募があり、5件について検討を開始したという。
また、シンプルでスマートな空港間実現に向けた取り組みや、顧客向けのデジタルプラットフォームの整備などにも取り組んでいるという。
努力する姿勢と挑戦する精神が原動力
DXグランプリ 2019を受賞したANAホールディングスの取締役であり、全日本空輸(ANA)の社長を務める平子裕志氏は、受賞挨拶のなかでまず同社の強みについて言及した。
「ANAは1952年に、2機のヘリコプターで事業をスタートした。当初は、農薬散布や電線の敷設といった事業を行なっていた。だが、創業当初から日本の空に、民間の手で飛行機を飛ばしたいという野望を持っていた。当時の社長である美土路昌一は、その想いを強く持ち、創業から2年後に旅客事業を開始した。
まだ旅客機の数は8機しかない小さな会社であったが、我々は将来有望な会社になると社員を鼓舞し、努力を重ねてきた。努力する姿勢と挑戦する精神は、会社のDNAになり、ANA発展の原動力になってきた」とする。
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