スポーツチームにとってファンの拡大は常に重要な課題だ。現在、ファンはオフライン、オンラインでチームと関わっており、適切にアプローチするためにはデータを収集して、ファンを正確に把握する必要がある。日本スポーツアナリスト協会(JSAA)が1月に開催した「スポーツアナリティクスジャパン 2019」では、スポーツチームのマーケティング担当者、デジタルマーケティングの有識者による対談が実施された。
対談はシンクロの西井敏恭代表取締役社長、横浜マリノス株式会社のマーケティング本部 FRM事業部永井紘部長、Jリーグデジタル コミュニケーション戦略部の杉本渉部長が登壇し、モデレーターはJSAAで事業推進ディレクター/Jリーグデジタル デジタル戦略担当オフィサーの濱本秋紀氏が務めた。
共通のデータ基盤を活用する横浜F・マリノス
そもそも、いつファンになるのか? 横浜マリノスの永井氏は、「ファンに聞くと1回目(の来場)でハマる人は少なく、2回目、3回目でようやくという人が多い」という。
このようなことがわかるようになったのも、横浜F・マリノスがデータを取るようになったことがある。横浜F・マリノスは2012年ごろから顧客データベースの構築に着手したというが、それは「お客さんを増やそうとなった時に、誰がどれだけきていてどういう行動をしているのか全く可視化できていない状況だった」(永井氏)からだ。
それまでファンクラブ会員などはExcelで管理していたが、データベースを構築して顧客の見える化を進めることにした。具体的には、公式サイトのリニューアルに合わせてECサイトと連動させ、受け皿として共通のデータベースを置いた。
本格稼働は2014年からで、2016年には1つのデータベースに統合し、様々なサービスで利用できるようにした。これにより、それまではECサイトでの購入に対する番号とファンクラブの番号と分かれていたのが、同一の番号になった。これにより、顧客の動向がだいぶ見えるようになったと永井氏は言う。