Thunderbolt 3をベースに
USB 4.0を構築
USB-IFはこのUSB 3.2に続き、USB 4.0の仕様策定を行なっていたが、ここに来てインテルがThunderbolt 3のプロトコルをUSB-IFに寄贈するという発表を3月4日に行なったことで、一気に大騒ぎとなった。
もともとインテルは2015年にThunderbolt 3を発表した時に質疑応答で「将来はThunderbolt 3をオープンソース化する可能性はあるが、具体的なプランは決まっていない」と説明していた。その後、2017年5月に、Thunderbolt 3をすべてのプロセッサーに標準装備するとともに、その仕様を業界に公開すると発表した。
ただこの時の業界の反応は「それが実現すれば結構なことであるが、対応する/しないはどういう形で公開されるか次第」という、様子見の姿勢であった。
ところがUSB-IFはThunderbolt 3の寄贈を受けたことでプレスリリースを出し、この中でUSB 4.0はThunderbolt 3をベースに構築することを明らかにした。具体的には以下の3つが挙げられている。
- 既存のUSB Type-Cケーブルで2レーンオペレーションで20Gbps、新しく制定される40Gbps対応ケーブルを利用すると、40Gbpsでの通信が可能
- 複数のプロトコルをUSB 4上で利用可能
- USB 3.2/USB 2.0、及びThunderbolt 3との後方互換性を確保する
リリースの中で、すでに50以上のメンバー企業がUSB 4.0のDraft Specificationをレビュー中、と説明されているあたり、おそらくは2018年中にはこの寄贈の話は始まっており、これを受けてのドラフト策定が行なわれ、ほぼ問題ないという判断を受けて今回の発表につながったのだろう。
意地悪く裏側の事情を想像してみると、インテルのThunderboltをネイティブで搭載する製品(つまりIce Lakeのことだ)がやっと出荷のめどが立ったので、これを競合製品の7nm Ryzenとの差別化要因として利用するためには、エコシステム(=周辺機器)ベンダーの協力が欠かせず、そのためにはそろそろ発表しないと間に合わない、というあたりではないかと筆者は邪推している。
そうした裏側の事情はともかくとして、2019年中旬にはUSB 4.0の仕様が公開される予定となっており、また今年後半に行なわれるUSB Developer DaysでこのUSB 4.0について細かく説明される予定という話であった。
もっとも現実問題として、今手元にコントローラーがあったとしても、そこから製品に仕立てるのには半年やそこらは普通にかかる。ましてや、現時点ではThunderbolt 3のコントローラーはあっても、それがそのままUSB 4.0のコントローラーとして利用できるわけではない。したがって市場が立ち上がるのは、早くて来年の今頃になるだろう。
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