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あのスタートアップは今:

うんことの戦いは続いていた 排泄予知デバイスDFree

2019年04月16日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●実直にやるしかない

── どんな人に使われているのか。

 色々だ。生まれて初めてトイレに行けた障害児がいた。脊椎損傷の人で、普段は時間を決めて定期的にトイレに行っているが、DFreeがあることで外でビールを飲んだり、バーベキューをするなど楽しめるようになったという人がいた。一般の方でも、心因性の頻尿で30分に1回トイレに行かないと不安で仕方ないという状態だったが、目盛りが見えることで「これくらいならもう少しはガマンできるな」というのがわかるようになったという人もいた。介護施設に入居している方で、脳梗塞の後、ずっとおむつをつけていたが、1年半ぶりにトイレに行けて「また人生楽しめる」と喜んでくれた人もいた。本当に、話せばいくらでもいる。

── 今後はどう展開していくか。

 将来的には膀胱・大腸以外の部位もモニタリングできるようにしたい。そうすると予後管理やリハビリに使えるようになる。たとえばがんで内蔵の一部をとったあと、内蔵がきちんと動いているかどうかのモニタリングに使えるなどのイメージ。これから入院期間が短縮されて、家庭に戻って経過観察をするという場面も増えてくるはずだ。あとは介護現場でQOLを高めたケアを受けるための参考データも提供できるはずだ。ライフステージに応じて深く浸透していくところまで踏み込めればと思っている。

── スタートアップというと爆発的な成長を期待するが、フタをあけてみると活動はとても地道なものだった。この4年間、どう感じていたか。

 ニーズがあることは確信していたので、正直もっとスムーズに広がるかなと期待していた。周囲も「これはいい!」と言ってくれる人が多かった。だが、結局は地道にやるしかなかった。世の中にないものを、プロダクトもマーケットも一から作っていくわけで、すべて徐々にしか進まない。ハードウェアという制限の中、ユーザーの満足度を最大化するにはどうすればいいかと考え続ける地道な話だ。ただ実直にやっていくしかない。うんこをするたびそう思っている。


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