Google Cloud Next’19レポート:GCPから各OSSのフルマネージドサービスを提供
GoogleがMongoDB、Redis、Elastic、Kafkaと協業、OSS開発元の収益を重視
2019年04月10日 01時00分更新
OSSの商用クラウドサービス化をめぐって、OSSの開発元とクラウドベンダーが対立する事案が相次ぐなか、Googleは2019年4月9日(米国時間)、米国サンフランシスコで開幕した「Google Cloud Next 2019」で、MongoDB、Neo4j、Elastic、Radis Labs、Confluent、DataStax、InfluxDataと、Google Cloud Platform(GCP)からのマネージドサービス提供を柱としたパートナーシップを発表した。開発元企業に収益をもたらす形で、GCPに統合されたフルマネージドのサービスを提供していくとする。
OSS開発元がクラウドベンダーに反発、特にAWSとの関係が悪化
昨年2018年から、OSSの開発元企業がライセンスを改定して商用サービス化を制限する動きが強まっている。インメモリデータストア「Redis」の開発元であるRedis Labsは、2018年8月に全文検索エンジンRediSearchなどを含む拡張モジュールのライセンスを変更し、クラウドベンダーが商用サービスで利用することを制限した。その理由についてRedis Labsは公式ブログで「コミュニティのコード開発者やスポンサーが得られるはずだった利益がクラウドプロバイダーに行ってしまっている」と述べている。
特に、OSS開発元との関係を悪くしているのはAWSだ。2018年8月にNoSQLデータベース「MongoDB」の商用サービス利用を制限するライセンス変更が行われたことを受けて、AWSは2019年1月にMongoDB互換の独自マネージドサービス「Amazon DocumentDB」を発表。開発元のMongoDB社との対立をさらに深めることとなった。また、分散ストリーミングプラットフォーム「Kafka」の開発元であるConfluentは、AWSがKafkaのマネージドサービス「Amazon Managed Streaming for Kafka」を発表した1カ月後の2018年12月に、Kafkaのコンポーネントの一部で商用サービス利用を制限するライセンス変更を実施している。「Elasticsearch」開発元のElasticもAWS対抗のライセンス改定を行っていたが、2019年3月にAWSがElasticsearchの独自ディストロ「Open Distro for Elasticsearch」を公開したことでさらに関係が悪化した。
GCPからOSS開発元プロダクトのマネージドサービスを提供
このような状況の中、今回Googleは、MongoDB、Elastic、Radis Labs、Confluent、Neo4j、「Cassandra」開発元のDataStax、「InfluxDB」開発元のInfluxDataとのパートナーシップを発表し、各社が提供するプロダクトをGCPのフルマネージドサービスとして提供していく計画を明らかにした。各OSSサービスは、GCPのネイティブサービスと同様に、GCPの管理コンソールからプロビジョニングでき、請求書やサービスチケットはGCPと統合される。
Google Cloud Corporate Vice President, Global Ecosystem and Business Development Kevin Ichhpurani氏は、各サービスについて「OSSのコミュニティとの開発元企業にメリットと収入をもたらす形で、且つ、ユーザーにはGCPに統合された使いやすい形で提供する」と説明。OSS開発元企業への利益還元を重視したパートナーシップであることを強調した。
MongoDB Member of the Board of DirectorのTom Killalea氏は、Googleとのパートナーシップは「ユーザーが、グローバルに展開されたGCPのリージョンにデータベースを置けるようになる」などユーザーメリットが大きいと述べた。また、DataStax CEOのBilly Bosworth氏は、「クラウドベンダーとして、Googleは我々OSS開発企業を助けている」と評価した。