このページの本文へ

OSSのElasticsearchの開発元が記者発表会を開催

速くて、安くて、スケールするElastic、エンタープライズを魅了する

2019年05月31日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2019年5月30日、「Elasticsearch」を開発するElastic(エラスティック)は自社イベント「Elastic {ON} Tokyo」内でメディア発表会を開催した。OSSの検索エンジンとして幅広い実績を持つElasticsearchだが、性能やコスト、機能面などで高い評価を得ており、日本のエンタープライズでの導入も増えているようだ。

Elastic ワールドワイドマーケティングVP ジェフ・ヨシムラ氏

高速な検索を可能にするElasticsearchの軌跡

 オランダ・アムステルダムを本拠にするElasticは全文検索エンジン「Elasticsearch」の開発元。ログを取り込む「Logstach」やデータ転送を行なう「Beats」、データ可視化を実現する「Kibana」などを統合した「Elastic Stack」とあわせてOSSプロジェクトとして開発されている。

 ElasticsearchはOSSとして提供されており、フリー版も用意されているが、開発元のElastic自体からは機械学習やアラート、セキュリティなど先進的な機能とサポートを付与した商用版を提供している。オンプレミスやパブリッククラウドでの利用も可能だが、最近では「Elastic Cloud」においてエンジンだけでなく、アプリ検索、サイト検索などをサービスとして提供し、高い成長を遂げているという。

OSSとサブスクリプションサービスのビジネスモデル

 Elasticは2018年10月にNASDAQへの上場を果し、従業員はグローバルで1500名を超えた。世界40カ国でビジネスを展開しており、日本法人も5年ほど前から活動を進めている。また、コミュニティにフォーカスしている点も特筆すべき点で、100カ国で開発者向けのコミュニティが生まれているという。

 発表会に登壇した米Elastic ワールドワイドマーケティングVPのジェフ・ヨシムラ氏は、Elasticの概要を紹介したビデオを披露。その上で「検索は人間が毎日やること。サーチと言えばGoogleだとみなさん思っている。でも、Googleはあくまでテキスト検索であり、WWW上のデータを引っ張ってくるサービスだ」と語る。

 これに対してElasticは、Webサービスやモバイル、エンタープライズなどさまざまなシステムにおいて検索機能を提供する。「素早く検索結果が出てくるのは、ユーザー体験としてすでに当たり前となっているし、日常的に役立ってくれる検索結果にならなければならない」とヨシムラ氏は指摘。

 その点、Elatsicsearchは性能面や拡張性という点で優れており、大容量のデータを扱う巨大インフラやエンタープライズシステムでも高い性能も発揮するという。「Active DirectoryやLDAPにも対応し、ドキュメントの閲覧権限をかけられる。機械学習の機能もわざわざデータを移動させなくても利用できる」(ヨシムラ氏)とのことで、エンタープライズ向けの機能も強化している。

検索からスタートし、ログ、ITオペレーション、セキュリティ可視化まで

 ヨシムラ氏に続いて登壇した米Elastic チーフ・レベニュー・オフィサーのアーロン・カッツ氏は、Elasticのビジネス変遷を説明。6年前、会社が立ち上がったときは約30億ドル規模の市場だった「検索」にフォーカスしていたが、ユーザー主導でログデータの収集・分析が始まったことを受けて、ITオペレーションの分野にも拡大。その後、Hadoopなどのビッグデータや分析、セキュリティのSIEMの分野にも事業を拡大しており、すべてを合わせると、対象市場規模は約450億ドルにまで拡大しているという。

米Elastic チーフ・レベニュー・オフィサーのアーロン・カッツ氏

 また、Elasticは海外売上がすでに40%を超え、すべての業種と市場規模に参入している。全世界のPOSデータのリアルタイム分析に用いるウォルマート、火星のテレメトリデータを分析するNASAのJPL、デジタルアセットの検索として導入しているアドビなどがElastic製品を採用しており、日本企業でもソフトバンク、リコーなどが導入しているという。「開発者はおおむねOSSのElasticsearchをサービスに導入し、プロジェクトが成功すると、結果として社内利用が拡大し、大手企業のCXOからも問い合わせが来るようになる」とカッツ氏は語る。用途も当初はアプリ検索からうスタートし、ログ分析、セキュリティ分析、ビジネスアナリスティックに進むパターンが多いという。

 日本ではパートナー経由での販売も注力している。Google、Alibaba、Azure、Tencentなどがクラウドパートナーとなっているほか、国内でもアクロクエストテクノロジー、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTテクノクロス、クリエーションライン、ネットワンシステムズ、日立ソリューションズ、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリのインテグレーターがパートナーとして名前を連ねる。

入力データ量の課金はすでに時代のオーダーにあわない

 今月からElasticのカントリー・マネージャーとなった川崎友和氏は、「企業でもデータは大量に増えてきているが、システムがサイロ化し、データを適切に使うのが難しくなっている。でも、大量のデータ正しいデータを、正しいタイミングで選び出すことが非常に重要になる」と指摘する。川崎氏は、Elasticのビジネスを拡げるとともに、日本でのニーズを汲んだ開発を進めていくという。

 イベントの後半では、リコージャパン、メタウォーター、三井住友DSアセットマネジメントというユーザー3社が登壇した。セキュリティの可視化、IoTのテレメトリ分析、社内データの検索など利用用途は異なるが、一言で価値を語ると、「素早く見える化ができる」(リコージャパン 和久利智丈氏)、「ビジュアルが美しい」(メタウォーター 浦谷貴雄氏)、「簡単で速い。これに尽きる」(三井住友DSアセットマネジメント 池田佳弘氏)という評価になるという。

リコージャパン 和久利智丈氏、メタウォーター 浦谷貴雄氏、三井住友DSアセットマネジメント 池田佳弘氏

 歴史の長い検索エンジンという市場において、Elasticの差別化要因は「優れたユーザー体験をもたらす性能」「ビッグデータ前提の拡張性」「多様なユースケース」になるという。「かつてはギガバイト単位だったが、ユーザーはすでにテラバイト、ペタバイト単位のデータをインジェストしている。そんな中、入力されたデータ量に応じて課金されるSplunkは、すでに時代のオーダーにあわない」とアーロン氏は語る。

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    フォーティネットの「SSL-VPN廃止」 IPsec移行と脱VPN、それぞれの注意点を総ざらい

  2. 2位

    ソフトウェア・仮想化

    「SaaSの死」の影響は感じない ― グローバル以上に好調な日本市場、ServiceNow鈴木社長が語る

  3. 3位

    ネットワーク

    ネットワークとセキュリティの統合に強み 通信事業者系ZTNA/SASEサービス3選

  4. 4位

    TECH

    「蟻の一穴」となるリモートアクセスVPNの脆弱性 ZTNA/SASEはなぜ必要か?

  5. 5位

    デジタル

    海外駐在員の負担を軽減し、ワンチームへ kintoneは言語と文化の壁を越える「翻訳の魔法」

  6. 6位

    ビジネス

    医療費5兆円抑制につながる“国産ヘルスケア基盤”構築へ SMBC×富士通×ソフトバンクが業務連携

  7. 7位

    エンタープライズ

    基盤も古いし、コードも酷い! そんなクエストにGitHub Copilotで試行錯誤しまくった「みんな」こそ最高

  8. 8位

    サーバー・ストレージ

    「30%ではなく“30倍”の生産性向上へ」 AIエージェント時代に求められるIT基盤、マイケル・デル氏が語る

  9. 9位

    ビジネス・開発

    いますぐ捨てたいITサービスは? AI推しにそろそろ飽きてません? 情シスさんのホンネを「ゆるっとナイト」で聞いた

  10. 10位

    ITトピック

    AIセキュリティで必要な6つの対策/20代の半数が「検索エンジンを使わない」/生成AIツールはエンジニアの「業務インフラ」へ、ほか

集計期間:
2026年05月19日~2026年05月25日
  • 角川アスキー総合研究所