やりがいを示すことができるか?
外部人材側はどうか? 先述のように、ビズリーチが行なったFJEのプロジェクトでは1100人以上の応募があった。FC今治でも1000人以上が応募したという。このようなことから、スポーツ業界に関わりたい人は多いといえそうだ。加瀬澤氏によると、1年前のアンケートで「スポーツ業界になんらかの形で関わりたい」という人は65%ぐらいだったという。「リスクを負ってでもやりたいと思っている人は多い」と加瀬澤氏。
SHCはJリーグが起源となってスタートしたビジネススクールで、スポーツ業界で活躍したいと思う一般のビジネスパーソン向けに教育研修を行っている。累計180人以上が参加、実際に40人がスポーツ界に転職したという。
中村氏は活躍している人の共通点として、「新しい環境を楽しむことができる人」と挙げた。「一見華やかに見えるかもしれないが、中に入るとそうではないこともある。新しい環境に飛び込んだとき、これまで持ってきた自信やプライドが通用しないかもしれない。そんな時に適用できる人、新しいチャレンジをするという気概がある人が活躍している」と述べた後、これはスポーツに関係なく転職で成功するための心得だろうと続けた。
気になる年収だが、ビズリーチが手伝ったFJEでは日給1万5000円だった。これはそれまでの年収を下回る事になる。それでも応募が多かったことから、「金額ではなく、貢献を軸にやっているのだろう」と予想した。そういったこともあり、加瀬澤氏は「やりがいをどう提示するか」が重要とみる。
加瀬澤氏はもう一つ、外部人材が欲しいスポーツ団体へのアドバイスとして、「採用課題は経営課題であると認知して、軽装自らが採用に踏み込むこと」と述べる。これはスポーツに限らず、人材獲得に成功する企業とそうでない企業で明確に感じる違いという。売上規模から見てほぼ同等と言える小規模企業でも、「人材ではなく労働者としてみなしたり採用を後回しにするところは、採用がうまくいっていない」と付け加えた。
なお副業・兼業で採用する場合は「出社にこだわるのではなく、アウトプット(成果)をみる。そのために、いつまでに何をやって欲しいのかなどを明示し、プロジェクトとしてとらえることが重要ではないか」との見解を示した。