スポーツ業界への注目度が高まっている近年、後進育成や業界活性化を目的にさまざまな企業やスポーツ団体が「スポーツビジネススクール」を開催している。その中で「実践型」として注目を集めているのが、埼玉県川越市をホームに活動するサッカークラブ「COEDO KAWAGOE F.C」の運営する「COEDO SPORTS COLLEGE」だ。
若きサッカークラブが手掛けるスポーツビジネススクール
「COEDO KAWAGOE F.C」は、埼玉県川越市をホームとするサッカークラブ。2020年9月に設立され、現在はJリーグ加盟を目指し、2023シーズンは埼玉県1部リーグ（J7相当）で戦った。同クラブでは、2021年からスポーツビジネススクール「COEDO SPORTS COLLEGE」を実施している。同年4月に第1期がスタートし、第3期終了までのべ26名が参加。2023年7月からは第4期がスタートした。
講義は基本オンラインで、講義やグループワークがメインとなる。例えば、7月から始まっている第4期では、ホームタウン活動について学ぶほか、Jリーグクラブの営業とマーケティング担当を招聘し、スポンサー獲得、マーケティング戦略について学ぶ。また、クラブブランディング、新規事業の創出といった点も学べるようになっている。
サッカークラブそのものを利用してアイデアを形にする
「COEDO SPORTS COLLEGE」最大の特徴は、「サッカークラブそのものを利用してスポーツクラブの収益向上について学ぶ」という点だ。「新規事業開発」のカリキュラムでは、実際に「COEDO KAWAGOE F.C」を使って新しい挑戦を行う。一般的なビジネススクールでも、チームで新規事業などの議論を行うが、考えたアイデアを実践する場が用意されることは少なく、そのまま講座が終了してしまうこともある。しかし、「COEDO SPORTS COLLEGE」では、実際に自分が考えたアイデアが形になる。
同スクール事業を担当する藤川永吉氏によると、「実際にチームを動かして結果を見ることができるのが他にはない最大の強み」という。例えば、J1所属など、規模の大きなクラブチームでは、ビジネススクールの生徒が考えたアイデアを基にチームを動かすことはまず無理だろう。まだ発展途上の「COEDO KAWAGOE F.C」だからこそ、さまざまなアイデアを試し、その成果を確認することができる。
業界関係者も注目するビジネススクール
実際これまでにさまざまな受講生のアイデアが形になっている。例えば「パートナー（スポンサー）企業の英会話塾の認知の拡大と、売上増加」のお題では、「英語のみのサッカー教室」という生徒のアイデアが採用。所属選手協力の下、実際に「英語のみのサッカー教室」が開かれ、これまで塾の接触点のなかったお子さんとの接点づくりに成功を収めている。
「クラブチームを動かす」という実践型のカリキュラムは大きな注目を集めており、スポーツ業界を目指す学生だけでなく、現在進行形でスポーツクラブ運営やリーグ運営に関わっている人も多く受講。発足から3年というまだ若いクラブが実施するビジネススクールだが、実は業界が注目する「虎の穴」でもあるのだ。
「COEDO SPORTS COLLEGE」を運営するCOEDO KAWAGOE F.Cでは、スポーツクラブをハブにした「地域通貨づくり」など、これまでサッカークラブでは実施されたことがないような形で地域課題の解決も目標に掲げている。クラブが成長し「スポンサー以外の収益づくり」に成功すれば、地域に流通するお金が増え、地元への還元が期待できようになる。現在、さまざまなスポーツクラブが地域活性化、地域課題の解決に取り組んでいるが、その新しいロールモデルになるよう挑戦を続けている。
「ASCII STARTUPウィークリーレビュー」配信のご案内
ASCII STARTUPでは、「ASCII STARTUPウィークリーレビュー」と題したメールマガジンにて、国内最先端のスタートアップ情報、イベントレポート、関連するエコシステム識者などの取材成果を毎週月曜に配信しています。興味がある方は、以下の登録フォームボタンをクリックいただき、メールアドレスの設定をお願いいたします。
