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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第502回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 現在に続くIBMのメインフレーム事業

2019年03月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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順次後継機をリリース
プロセッサーのダイサイズが大型化

 このあと2002年にはやや性能と価格を落としたeServer z Series 800を9製品発表するが、これはプロセッサーそのものはz900そのままである。これに続き2003年5月に投入されたeServer z Series 990は、プロセッサーもz990に切り替わる。

 こちらはパイプライン段数こそ同じものの、2命令のスーパースカラーを搭載(ただしIn-Order)、プロセスもCMOS 9S(0.13μm SOI)となり、動作周波数は1.2GHzに引き上げられた。ダイは2コア構成となっており、ダイサイズは19×14mmで、2コアの合計で消費電力は55Wと発表されている。

2次キャッシュは引き続き外付けの関係で、I/Fは2コアで共用となる

 ダイサイズが大きくなった分、MCMは1個あたり8ダイ(16コア)構成になっており、ハイエンド品はMCMを2つ搭載した32way構成になった。

 このz990 CPUを利用した低価格帯向けモデルが2004年に発表されたeServer z Series 890となる。2005年には名称がeServer z SeriesからSystem zに変更され、その最初の製品がSystem z9となった。

 プロセッサーはz9 CPUであるが、これはz990 CPUを90nm SOIプロセス(CMOS10S)化したほか、特に周辺回路を大幅に再設計し直した構造である。プロセッサーのダイはデュアルコアで、1つのMCMに8ダイ(16コア)が搭載されるという構造はz990 CPUと同じである。

z9のMCMの構造。16個のチップの総トランジスタ数は45億個と発表されている

 ダイサイズは11.844×15.778mmとやや小型化し、動作周波数は1.7GHzに引き上げられた。ただプロセッサーの内部構造そのものにはほとんど手が入っていない(命令の追加などは行なわれているが、大きな構造の変化はない)ため、性能向上はほぼ動作周波数の向上によるものである。

 一方、周辺回路であるが、SC(Storage Controller)経由で4つのSD(System Data)がぶら下がる構造は似ている(ただし容量はSD1個あたり40MBに達している)が、これとは別にMSC(Memory Storage Controller)というチップが2つ追加され、MCMの外部に3次キャッシュを接続できるようになっている。

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