現在に続くIBMのメインフレーム事業
さて今回はメインフレームであるIBM Zと、POWERプロセッサーを利用したPower Systemの2つのうち、System Zに至るメインフレームのその後を説明する。1994年~1999年にかけて、System/390向けにG1~G6を投入してきたIBMだが、2000年にこれを64bit化した新しいeServer zシリーズを投入する。
最初に発表されたのは2000年10月のeServer z Series 900である。これに搭載されたチップの開発コード名はFreewayで、z900 CPUと呼ばれる。
CPUモジュールは最大20個のプロセッサーを搭載するMCM構成。内部は64bitアドレスをサポートするとともに、従来の24/31bitアドレスにも対応しており、既存のアプリケーションがそのまま実行可能とされた。
画像の出典は、Micro Processor Forum 2000におけるIBMのEric M. Schwarz氏による“The First S/390 64-bit Microprocessor”という講演資料
各々のプロセッサーは0.18μmプロセスで177.2mm2、4700万トランジスタといった規模。同時期で言えば、0.18μmのPentium III(Copperminie)が106mm2、2800万トランジスタという規模だったから、これより一回り以上大きなダイである。動作周波数は最初のものが770MHz動作、消費電力はプロセッサーあたり30Wほどとされている。
画像の出典は、Micro Processor Forum 2000におけるIBMのEric M. Schwarz氏による“The First S/390 64-bit Microprocessor”という講演資料
ちなみにパイプラインは基本的にはG6と同じ構成だが、G6で6段だったステージが10段になっている。またメインフレームらしく、RAS機能も充実しているのも特徴だ。
画像の出典は、Micro Processor Forum 2000におけるIBMのEric M. Schwarz氏による“The First S/390 64-bit Microprocessor”という講演資料
処理性能は、最初に出荷されたz900の場合、16プロセッサー構成で2500MIPSの演算性能と24GB/秒のメモリー帯域、単体で3億トランザクション/日・クラスター構成で90億トランザクション/日の処理性能を持つと発表されている。プロセッサー1つあたりでは、G6が200MIPSに対しZ900だと250MIPS程とされた。
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