長い行列ができていたパナソニック「LUMIX S」シリーズ
カメラ展示会「CP+2019」が2月28日からパシフィコ横浜で開催中だ。3月3日まで。今年の主役はミラーレス。主要各社が一眼レフデジカメを脇に追いやって、ミラーレス一眼デジカメを前面に押し出していたのが印象的だった。ミラーレスで横に並んだぶん各社の違いも鮮明になり、大きく「本格志向」「カジュアル志向」にわかれた印象だ。開催初日の会場に集まったハイアマチュア層の注目を集めたのは本格派。中には試し撮りに長い行列ができた製品もあった。
本格志向の代表がニコンだ。ニコンは昨年8月に発表したフルサイズミラーレス一眼カメラ「Nikon Z」シリーズを中心に展示。昨年8月に開発発表した大口径レンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」試し撮りができるコーナーや、開発中のファームウェアを使った瞳AFが試せるコーナーなどが注目を集めた。光学ファインダーになじみがある既存ニコンユーザーに対し、ミラーレスでは新しい世界の写真が撮れるようになると伝えるような内容になっていた。
やはり本格志向で大きな注目を集めていたのはパナソニックだ。昨年9月に発表した本格仕様のフルサイズミラーレス「LUMIX S」シリーズを試せるコーナーは先行入場時点で60分待ちの長い列ができていた。今まで初級者〜中級者向けにマイクロフォーサーズ規格のカメラを出していた同社がプロ志向のカメラを出したということでハイアマチュアからの注目度も高い。会場にいた20台の一般男性は「今はソニーのフルサイズミラーレス一眼(αシリーズ)を使っているが、今年はLUMIXが気になったのでパナソニックを見に来た」と話していた。
「α」シリーズでフルサイズミラーレス市場を牽引するソニーはAF性能の進化を大きく見せた。開発中の動物瞳AFを試せるコーナーを用意し、会場の目立つ場所で瞳AFについての説明もしていた。ソニーが初代α7を発表したのは2013年。ユーザーの声を聞きながらAFなどの機能を強化したり仕様を改善してきた強みを生かし、引き続き同カテゴリーの首位をねらっている。
一方、ターゲットを広くとったのがキヤノンだ。キヤノンは今年2月に発表した初級者向けのフルサイズミラーレス「EOS RP」を含めたEOS Rシリーズを大きく展示した。また子ども向けの小さなカメラ、400mm相当のズームができる小さなカメラなどを参考展示して、カメラの新しい可能性を探る姿勢を見せた。スマホやアクションカメラやドローンなどカメラのあり方が多様化している現在、製品の裾野を広げ、カメラ市場そのものを広げたいという考えだ。
徹底的に機動性を追求したのがオリンパスだ。最大7.5段という強力な手ぶれ補正性能を売りにするマイクロフォーサーズサイズミラーレス「OM-D E-M1X」で、パルクールやダンスなど激しい動きを試し撮りできるコーナーを設けた。レンズを含めたカメラシステム全体が小さくて軽いことをフルサイズミラーレス一眼に対する強みとみなし、気軽に撮れるカジュアルさをアピールした。
フルサイズではなくAPS-Cサイズと中判サイズを展開している富士フイルムは、小型軽量なAPS-Cサイズのミラーレス「X-T30」に加えて、レンズを大きく紹介。各社がフルサイズを展開する中、同社は独自のX-Trans CMOSセンサーならフルサイズに匹敵する解像力を出せると自信を見せている。今年は同社のレンズ技術も高画質の一旦を担っているというところをアピールした形だ。