System/36ユーザーの乗り換えを狙った
特殊なモデルが登場
1993年~1995年に投入されたP01~P03というモデルはやや特殊である。これはSystem/36ユーザーに対して積極的にAS/400に乗り換えをうながすための、いわば呼び水モデルである。もともとAS/400は性能がそれなりに高かった分、価格もそれなりであった。
性能で言えば、オンライントランザクション処理やデータベースの処理でSystem/38のほぼ倍、さまざまなオフィス向けアプリケーション向け処理でSystem/36の最大5倍の性能を発揮したが、その分価格も高めであった。手元の資料によれば、1988年の時点で下記の価格付けになっている(B10/B20は不明)。
AS/400の価格 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
モデル | 価格 | |||||
AS/400 Model B30 | 8万9500~11万3590ドル | |||||
AS/400 Model B40 | 19万1190ドル~ | |||||
AS/400 Model B50 | 30万6690~44万8690ドル | |||||
AS/400 Model B60 | 66万1190~80万3190ドル |
System/38は相対的に高価なシステムだったので、System/38のユーザーは比較的移行がスムーズだったらしいが、System/36ユーザーにとってはシステム価格が軽く倍以上になるために躊躇するケースが少なからずあったらしい。
1991年にはこうしたユーザーに向けて、1万2000ドルの超低価格版のシステムも用意されたが、プロセッサーモデルはP10のままだったので、システム価格はともかくとしてソフトウェアのライセンス料が高くつく問題の解決にならなかった。
そこでこの1991年、IBMはSystem/36 Model 9401というAS/400のサブセット(AS/Entryなる通称もあったらしい)を提供する。これはSystem/36と言いつつ中身はAS/400で、ただしOSがAS/400用のOS/400ではなく、System/36のOSであるSSP(System Support Program)が動いていた。
話を戻すとこのAS/Entryはワンポイントリリーフで、これに続く製品は存在していないのだが、AS/Entryの顧客を取り込むために用意されたのが、プロセッサーモデルがP05というP10よりさらに下となる(=ソフトウェアのライセンス料が安くなる)P01~P03というモデルだった。
この連載の記事
-
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ