非常に高機能ではあるが
「何でもできる」わけではない
音声認識機能は、「ハイ、メルセデス」というキーワードで起動する。ちなみに「ヘイ! メルセデス」でも「ハロー! メルセデス」でもOKだった。けっこうフレキシブルだ。事前のメルセデス・ベンツ日本からのレクチャーによると「声の音程が低い方が認識されやすい」という。サンバイザーの上にマイクがあるので、シートバックに背中をしっかりとあずけた姿勢で発話した方がよいだろう。
印象としては、助手席よりも運転席側で発話した方がエラーは少なかった。認識率は6~8割といったところか。ノイズの多い車中という悪条件であることを考えれば、まずまずなのではないだろうか。ちなみに、ステアリングのスイッチでも起動はできる。急いでいる&確実性を求めるなら、こちらを使うのがオススメだ。
システムが起動すると「どうぞ、お話しください」「何を行ないますか?」などのアナウンスが流れる。アナウンス中は、何を発話しても聞いてくれないので、慌てないこと。そこから、要件を発話するのだが、知っておいてほしいのは「何でもできるわけではない」ということ。特にクルマ本体の操作は限定的だ。
「メルセデス・ベンツは、走行に危険が及ぶものには音声コントロールしない」という方針がある。そのため走行系の操作はできない。窓の開け閉めもNGだ。さらにオーディオの音量変更は「上げ下げの程度が不明確」という理由で、これも操作不能。さらにオーディオだけのOFFもできない。ただし、ドイツ車はナビとオーディオが一体化しているため、ナビを生かしたまま、オーディオをOFFには、もともとできない仕様となっている。
では、何ができるのか? といえば、カーナビの目的地設定、エアコンの温度設定、室内照明、オーディオ操作といったところ。それと、ちょっとしたお楽しみの会話だ。「あなたのお名前は?」「調子はどう?」「年齢を教えて」「賢いですね」「さようなら」などといったときに、少しばかりウイットに富んだ答えを返してくれる。
お楽しみの会話は、最初は面白いだろうが、実際にオーナーになれば、そう使うことはないだろう。それよりも重要なのは、カーナビの目的地の検索や設定だ。これが対話方式で探せるのは相当に便利だ。「お腹が空いた」といえば食事処のリストがさっと表示されるし、「トイレはどこ?」といった質問にも答える。もちろん施設名や住所を言うだけでも探せる。走行中に、口頭で立ち寄りスポットをルートに追加できるのも嬉しい。
そしてもっとも素晴らしいのは、オフラインでも音声認識機能が使えること。もちろん目的地検索などは、オンラインの方がデータは豊富だ。しかし、発話を認識する精度は、オンラインと遜色ないことには驚かされた。
ちなみにクルマ自体のマニュアルは電子化されていて、センターディスプレーで確認できる。これもうれしい仕様だ。いまどき、分厚いマニュアル本をひっくり返して読み直す人は少数派のはず。本音としては、対話式でマニュアルを読み上げてほしいものだが、それは未来の技術。別の取材で音声認識のサプライヤーに聞いたところ、そうした必要性は認めており、対話しながらクルマの不具合を見つける機能も開発しているという。

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