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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第27回

サービス企業へ転換の姿勢を見せている:

iPhone不振でもアップル株が上がるワケ

2019年02月01日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●iPhone高級化は「すべりこみセーフ」

 中国については後述しますが、マクロ経済の傾向や途上国経済の混乱の影響については、アップルだけでなく他の業種にも影響が及ぶ大きなトレンドといえます。

 また、スマートフォンの高性能化は端末の耐用年数を長くしており、買い換えの必要性を感じるまでの時間がこれまでの2.5年から3年以上に延びています。その上、キャリアによる販売補助金の廃止や、日本のように端末と通信サービスを分離する流れもあります。これらもアップルだけの問題ではありません。

 アップルは2017年発売のiPhone Xから、999ドルというスマートフォンの中で最高の価格をつけ、2018年もiPhone XSを999ドル、iPhone XS Maxを1099ドルからとしました。

 また、エントリーモデルであるiPhone XRを749ドルとする一方、iPhone SEを廃止して、iPhone 7の販売を継続させたことで、最低価格を349ドルから449ドルへと100ドル上昇させてしまいました。高価格化は確かにネガティブに映りますが、むしろ早期に高付加価値化を進め、景気後退の前に収益を最大化することができたアップルの「すべりこみセーフ」のようなタイミングの良さも感じます。

 ティム・クックCEOはカンファレンスコールの中、価格の上昇が販売の減速に影響している点を認めています。なお現在のラインアップの中ではiPhone XRが最も販売台数が多く、次いでiPhone XS Max、iPhone XSの順に売れているとのことで、最新モデルの中では最も価格が手頃なモデルと、ハイエンドモデルに人気が集まる傾向がみられています。

 ティム・クックCEOは1月になり、いくつかの地域でiPhoneの価格を調整したとカンファレンスコールで報告しています。さらなる抜本的な改革、たとえばiPhone SEレベルの価格のiPhoneの準備などの思い切った施策に打って出るのか、注目しています。

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