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T教授の「戦略的衝動買い」 第516回

PQIの指紋認証付きUSBメモリーを衝動買い

2019年01月23日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授、編集●南田/ASCII編集部

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同金属のキャップの製造精度も高く引き抜くときのヌメッと感にしびれる

「My Lockey Flash」の本人拒否率は1%以下
他人受入率(他人許容率)は0.001%に設定

 これらは現在のスマホの起動時に照会する、4桁から8桁くらいの事前登録が必要なパスコード的な数字を使用者に確認入力させるものが大半だ。今回の指紋認証USBメモリーは個人のオツムの構造に頼っただけのその「忘れてしまうかもしれない」パスワードを、個性的でふつうなら一生絶対に変化することのない「指紋」に代行させようとするもので、昨今のスマホの指紋認証とほぼ同様の考え方だ。

 もちろん、先行するスマホも同様だが、採取した指紋データそのモノは全く変化がなくても、自然環境である気温や湿度は実際の指紋認証に少なからず影響を及ぼす。また、個人的な年齢や発汗、皮膚の乾燥度合いによっても認証に時間を要したり、判断誤りをすることがある。

 とはいえ、広く販売される指紋認証機器ゆえ、千差万別の個人特性に合わせることは難しく、⼀般的かつ平均的な指紋環境に合わせて製造、テスト、出荷されることが普通だ。

 ⼀般的に指紋認証の精度を現す“照合精度”では「他人許容率」と「本人拒否率」の2つの数値がある。前者の他人許容率(FAR:False Acceptance Rate)とは他人の指紋情報を、本人の指紋だと誤って認識してしまう率のことだ。

 一方、本人拒否率(FRR:False Rejection Rate)とは本人の指紋情報を、本人の指紋ではないと誤って認識してしまう率のことだ。賢明な読者のみなさんであればこれらの両方の数値は同じ照合手段や装置なら、相反する数字となるのが普通だとわかるだろう。

 例えば、他人による「なりすまし」を徹底的に防ごうとして「他人許容率」を小さく設定すると、本来照合され適合と判断されるべき本人も拒否される可能性が高まり、何回も指紋照合を強いられて、便利な道具が逆に使い辛い製品だと感じてしまうことになる。

 その反面、誰もが待たされない使いやすい製品を作ることだけを考え、本人の指紋が適合されやすいように「本人拒否率」を小さく設定すると、なりすましを狙う悪意の第三者の指紋も適合してしまう確率が同時に上がってしまうという矛盾を抱える難しい機器なのだ。

 しかし、元来、安全を守る機密管理機器としての指紋認証であるならば、多少コンサバティブでも本人拒否率を上げて、指紋照合のやり直し回数が増えてでも他人許容率を低く抑えたモノづくりをするのが正しいと考えられる。

 今回ご紹介するPQIの指紋認証USBメモリー「My Lockey Flash」は、本人拒否率1.0%以下、他人受入率(他人許容率)0.001%に設定されている。機密を堅固に守るために、指紋登録した本人でもやり直しを強いられることは1%はあるということになる。

 1%が多いと感じるか少ないと感じるかは別にして、これらの“閾値の設定”は各メーカーの意識やハードウェア、ソフトウェアなどのテクノロジーでも変化する。そして、やはり指紋照合で解決できない場合や、指紋照合の対象となる指紋の登録・削除にはよりセキュリティーレベルの高いパスコードが必要になるのも昨今のスマホと同様だ。

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