USBメモリーはUSB系のテクノロジー商品としては、キーボード、マウスに続く歴史ある息の長いプロダクトだ。
昔、日本初のUSBメモリーの企画とそのマーケティング活動にチョビっとだけ関わらせてもらった筆者は、USBメモリーに関しては今だに特別の思い入れがある。
そんなUSBメモリーだが、育ての親機であるPCの伸びが一時ほどではなく、代わりに登場してきた主役であるスマホやタブレットが驚異的な伸びを示している時代に遭遇して、どことなく変化の兆しが現われてきているようだ。
偏執狂的なUSBメモリーに対する思い入れから、何か新しいUSBメモリーが発売されると、ほとんどは速攻で購入し、コレクションは膨れるばかり。そんな筆者が先日衝動買いした最新のUSBメモリーは、金属加工の匠の技を活かしてiPhoneケースなどを手がけているファクタスデザインの「FACTRON」ブランド製品「USB-KINGYO」だ。
USBメモリーの多種多様なジャンルを振り返る
USBメモリーのようにわかりやすい単機能の商品は、テクノロジーの進化とともに、より安価に、より高密度になっていき、価格競争が激化し、多くの脱落組を出しながら、予想外の新しいチャレンジを行なって生き残る企業と、その戦いに敗れて力尽き脱落する企業の明暗が確実に別れる業界だ。
極めて手前味噌だが、筆者の引き出しの中のUSBメモリーのコレクションは秋葉原やウェブ上のUSBメモリー業界全体の縮図だと思っている。多少転送レートの優劣はあっても、一見して誰もが理解できる同じ機能を提供するUSBメモリーだが、その外観や消費者に訴求するセールスポイントはいくつかのセグメントに分類できる。
今回は、外観や機能での分類分けを少しだけ見てみよう。オーソドックスなスタイルのUSBメモリーを除いて、まず最初のグループはモビリティーの向上を一番に据えた“カード型USBメモリー”だ。
基準サイズはクレジットカードなので、表面積が広く、広告やメッセージなどの対応も容易だ。そのためノベルティーとしての採用も多かったが、昨今はUSBメモリーをもらっても喜ぶ人が少なくなったので、いつの間にか縮小したセグメントだ。
続いてよく見かけるのは、“デザイン・コンシャス系USBメモリー”だ。中には由緒正しいデザイナーの作品を再利用したモノもあるが、その多くは発売するUSBメモリーのために特別にデザインしたものが多い。
デザインコストの観点から、この市場セグメントも昨今は急速に縮小してきている。
次のグループは、昨今、最も増えてきている“ジョーク系USBメモリー”だ。デザインコンシャス系と明確な分類が難しい商品も多いが、超安い商品から高いライセンス料を支払うためにメモリーサイズに比較して極めて高い商品まで、価格帯は幅広い。またパチモノの多いのもこのセグメントの特徴だ。
そして次は“機密保持機能付きUSBメモリー”だ。外観的特徴にも機能の一端が現われているが、筆者のコレクションしているものはいずれもUSBメモリー表面にテンキーが搭載されている。まず、あらかじめ決めた任意のパスコードを入力しないとUSBメモリーとして機能しないという、落としてもチョットだけ安心な商品だ。
そして最後は、モビリティーを究極まで高めてキーホルダーやカバンや財布のネームタグ代わりに付けて持ち歩ける“サムネイル(親指の爪)サイズUSBメモリー”だ。
フラッシュメモリーテクノロジーの進化はこのサイズを見れば一目瞭然だが、度を超えた小さな商品は便利さを通り越して紛失の危険性や不安感を募る可能性があるので、程度問題だ。
さて、そんな多種多様のUSBメモリーがあふれる世界に、またしても現われた「USB-KINGYO」っていったいどんなモノだろう。
(次ページに続く、「USB-KINGYOの使い勝手を検証!」)
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