iOSアプリ開発環境の構築
続いて、iOSアプリ開発環境のセットアップに移る。最初に示したSDLのiOSアプリの開発者向けページでは、標準的なiOSアプリのプロジェクトにSDL関連のライブラリを付加して、最小限のSDLアプリを作る方法が簡単に述べられている。その一方、あらかじめ必要なセットアップを施したiOSアプリのサンプルプロジェクトも、GitHubに公開されている。今回は、Androidの場合と同様、GitHub上のサンプルプロジェクトを利用して、車載機エミュレーターとの連携動作を確かめることにした。
基本的な作業ステップは、以下のようになる。
- Xcodeのインストール
- サンプルプロジェクトの入手
- SDKのセットアップ
- iOSデバイスシミュレーターで動作確認
この順で作業手順を見ていこう。
1. Xcodeのインストール
Xcodeは、iOS 12の製品版公開、つまりiPhoneの今年度の新モデルの発売に合わせて10.0がリリースされた後、今度はiPad Proの新しいモデルの登場に合わせて10.1にアップデートした。この記事の執筆時点での最新版は10.1となっている。SDLアプリの開発に、必ずしもこの10.1が必要というわけではないが、逆に古いバージョンでなければならない理由もないので、ここでは、その最新版を使って作業を進める(図15)。
2. サンプルプロジェクトの入手
すでに述べたようなiOSアプリのサンプルプロジェクトは、GitHubのページに公開されている(https://github.com/smartdevicelink/sdl_ios)(図16)。
Xcodeのコマンドラインツールをインストールしてあれば、gitコマンドが使えるはずなので、macOSのターミナルに次のようなコマンドをタイプ入力して、プロジェクトをローカルにコピーすることができる。もちろん、Zipファイルとしてダウンロードしてもいい。
$ git clone https://github.com/smartdevicelink/sdl_ios.git
いずれにせよ、このプロジェクトには、C言語で書かれたSDL独自のライブラリ「bson_c_lib」がサブモジュールとして含まれている。それはGit Hub上の別のプロジェクトへのリンクになっているので、そのままではクローンしても、またZipとしてダウンロードしても、ライブラリの中身は空のままとなり、ビルドできない。
クローン機能を使う場合には、次のように再帰的にクローンすることによって、リンクしたサブモジュールも含めて、プロジェクトの中身をすべてまとめて入手することができる。
$ git clone --recursive https://github.com/smartdevicelink/sdl_ios.git
もちろんこのbson_c_libも、ソースコードがGitHubで公開されている(https://github.com/smartdevicelink/bson_c_lib)。Zipファイルとしてsdl_iosのプロジェクトをダウンロードした場合には、このbson_c_libもZipでダウンロードして入手するといい(図17)。
sdl_iosをZipとしてダウンロードした場合には、それを解凍したフォルダは「sdl_ios-master」となる。そのすぐ下には「bson_c_lib」という空のフォルダができているはずだ。その中に、別途入手したbson_c_libに含まれる「src」フォルダをフォルダごとコピーしておくだけでいい(図18)。
この連載の記事
-
第10回
スマホ
未来の車とバイクを楽しく安全にするアイデアが集結 -
第9回
sponsored
車両情報+ニュース読み上げアプリを作ってみた! -
第8回
sponsored
SDL対応アプリ開発環境の構築その4~白紙のiOSプロジェクトから作るSDLアプリ -
第7回
sponsored
SDL対応アプリ開発環境の構築その3~Android版のSDLのAPIを使いこなす -
第5回
sponsored
クルマがしゃべる未来って? ロボホンとクルマをつないでみた -
第4回
sponsored
SDL対応アプリ開発環境の構築その1~車載機エミュレーターを作成する -
第3回
sponsored
トヨタ・スズキ・LINEのキーマンが語る、SDLとスマホが作る車・バイクの未来 -
第2回
sponsored
スマホアプリをカーナビで動かすと、こんな世界が待っている! -
第1回
sponsored
車・バイクとスマホを連携させるSDL規格の基礎知識 -
sponsored
車とスマホがつながるSDLの世界 - この連載の一覧へ