アプリ開発環境構築のストラテジ
全4回に渡ってSDL対応アプリ開発環境の構築と、実際の開発手法を解説するこの連載。第2回の今回は、AndroidとiOSについて、アプリ開発環境をほぼゼロから立ち上げるための手順を解説する。その際、一般的なIDEとSDKの構築については、なるべく簡単に済ませ、SDL対応アプリに固有の部分については、できるだけ詳しく取り上げるという方針で進める。
改めて確認するまでもないが、SDLは対応するスマホアプリのOSとして、AndroidとiOSの2種類をサポートしている。当然ながらAndroidアプリはAndroid Studioで、iOSアプリはXcodeで開発することになる。Android StudioにはmacOS版やLinux版、そしてWindows版もあるが、XcodeにはmacOS版しかない。したがって、両方のアプリを1台で開発できるのはmacOSだけということになる。
そこで本記事では基本的にmacOSの場合について、Android StudioとXcodeのセットアップ、操作方法を解説する。
とはいえ、Android Studioについては、ほとんど同じ操作によってWindows 10でのSLDアプリのビルド、動作も確認した。Androidアプリだけ開発できればよいという場合には、Windowsでもまったく支障はない。また前回に車載機エミュレーター環境を構築するために利用した仮想環境アプリVirtualBoxにも、macOS用とWindows用が揃っている。つまり、Androidアプリについては、macOSでもWindowsでも、1台の開発マシンでアプリ開発環境と車載機エミュレーター環境の両方を同時動かして開発作業を進めることが可能となっている。
なお、Android Studioを久しぶりに使うという人のために付け加えると、現在のAndroid Studioをインストールする際には、masOS、Windowsとも、あらかじめOracleのJDKをインストールしておく必要がない。必要なものは、すべてAndroid Studioのインストーラーに含まれているので、安心して使える。
ところで、SDLの公式サイト(https://smartdevicelink.com)には、DocumentationのページにAndroidとiOSアプリの開発者向けの解説記事が用意されている(図1)。
現状では言語は英語だけだが、それはいいとしても、内容的には、説明が不足している部分や、必ずしも最新版のソフトウェアには適合しない部分も見受けられる。以下では、それらの不備を補いながら詳しく解説する。
Androidアプリ開発環境の構築
まずは、Androidアプリ開発環境のセットアップから始めよう。Androidアプリ用には、上記の開発者向けページからリンクしたサンプルプロジェクトも用意されている。ここでは、それをほぼそのまま利用して、今回のSDL対応アプリと、前回の車載機エミュレーターが連携して動作することを確かめる。
主な作業ステップは、以下のようになる。
- Android Studioのインストール
- サンプルプロジェクトの入手
- Build Valiantsの選択
- アプリソースコード(Java)の修正
- Androidデバイスエミュレーターで動作確認
それでは、この順に作業を進めていこう。
1. Android Studioのインストール
Android Studioの入手、インストール方法については、特に解説の必要はないだろう。ここでは、現時点で最新版の3.2を使用する(図2)。
Android Studioでは、本体をインストール後に、さまざまなコンポーネントをダウンロードしながら追加インストールするので、インストールが完了して使えるようになるまでには、それなりの時間がかかる。
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