October 2018 Update(以下RS5と表記する)の配布が再開されたようなので、このバージョンにおけるWindows Subsystem for Linuxの変更点を見ていくことにしよう。
利用できるLinuxディストリビューションが10以上に
WSL自体には大きな改良はないが、RS4以降、対応するディストリビューションが増えている。
当初から用意されていたUbuntuやSUSEは、ディストリビューション自体がアップデートされたため、それらの配布が追加されている。Microsoftストアで配布するWSL用ディストリビューション自体をアップデートしないで、新しいバージョンを追加するのは互換性のためだ。
Linuxでも、カーネルを含む根幹的なソフトウェアや言語システムなどがアップデートすると、場合によってはユーザーが開発したソフトウェアが動作しなくなることがある。また、Linuxのディストリビューションでは、個々のアプリケーションパッケージは、ディストリビューションそれぞれのバージョン用を区別して配布することもできる(あるいは複数のディストリビューションのバージョンに同一のパッケージを配布することもできる)。このため、それぞれのディストビューションバージョンごとに不具合を修正しつつ長期にわたって動作させることが可能だ。
もちろん、後継バージョンにアップデートすることも可能だが、Windows 10のように半ば強制的にバージョンアップさせてしまうと、問題が起きる可能性がある。そこでWSL用のディストリビューションでも、古いバージョンを残しつつ、新しいバージョンを追加していく形式になっているのだと思われる。また、新規に登場したディストリビューションもある。
WSLのディストリビューションの選択だが、動作させるアプリケーションがあって、それが特定のディストリビューションバージョンを指定しているのであれば、当然それに合わせるべきだが、特に想定しているアプリケーションがなく、これからWSLを使うのであれば、最新のものを選択するといいだろう。
ここでは、WSLで用意されている各Linuxディストリビューションを簡単に解説する(アルファベット順)。Linuxとしては特に優劣はないが、パッケージ管理については、ディストリビューションの特徴が出る。また、幅広いプロセッサをカバーするDebianのdebパッケージ形式をサポートするLinuxディストリビューションは多く、これらは「Debianベース」と呼ばれることもある。

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