このページの本文へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第486回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 日本の産業スパイに狙われたIBM

2018年11月26日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

性能を向上させたモデルを次々と投入
80年代を生き残ったIBM 3090

 ここで終わりにならないのがIBMのしぶといところで、1988年には動作周波数を66.7MHzに引き上げたSシリーズ、1989年には69MHzに引き上げたJシリーズがそれぞれラインナップされている。

 Sシリーズでは5プロセッサーのIBM 3090 Model 500Sで104MIPSとついに100MIPSの大台を超え、JシリーズハイエンドであるIBM 3090 Model 600Jで134MIPSに達している。

 ちなみにこれらの性能は全部整数演算性能だが、浮動小数点演算は? というと、例えばIBM 3090-150で108MFLOPSという数字が出ている。

 これはもちろん理論値なのだが、それにしても異様に高いのは、別にIBM 3090本体で処理をしているわけでなく、外付けでVector Facility(ベクトル演算支援機能)を接続し、ここで処理を行った場合の数字が記載されているためで、IBM 3090単体の浮動小数点演算性能はずっと低かった。

 また(IBM 3090が登場した)1985年といえば、Cray X-MPが1プロセッサーあたり210MFLOPSで、4プロセッサー構成(=840MFLOPS)までサポートしていることをアナウンスした時期で、これに比べるとVector Facilityも高速とは言い難かった。

 これが理由でFPS(Floating Point Systems, Inc.)などと組んでLCAP(Loosely Coupled Array of Processors)というシステムを開発した、という話は連載327回で説明した通りだ。

 IBM 3090シリーズはまた、S/370-XAに対応した(というよりESA/370に対応しない)最後の世代であり、その意味ではアドレス拡張こそされたものの、基本的にはSystem/370の延長にある最後のシステムでもあった。これに続くシステムはESA/370(のちにESA/390に改称)に準拠したものに変わったからだ。

 そんなわけでIBM 3090は80年代を代表するシステムとして長く記憶されることになり、後継のES/9000が出てもしばらくの間は販売され続けていた。

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン