互換機製造メーカーが欲しがった
S/370-XAの資料を巡り事件が勃発
この時期のIBMの大躍進を支えたのは間違いなくSystem/370とそれに続く後継製品であり、この時期に多くの競合メーカーを振り落とすことに成功している。
Amdahlとの闘いは連載439回で解説したが、もっと激しかったのは富士通、日立、三菱電機といった日本の互換機製造メーカーとの戦いであった。
それがピークに達したのは、S/370-XAに対応したIBM 3081Kがリリースされた1981年頃である。互換機メーカーはいずれもSystem/370やSystem/370 Advanced Functionに対応するために必要な情報を得て互換機種を発売していた。
ところがS/370-XAではアドレスの31bit化にともない、内部的にいろいろ大きな変更があり、しかしIBMはその情報を外部に出さなかった。このままだと、互換機メーカーはS/370-XAに対応した機種を作れないことになる。
そこで何とかして情報を手に入れようと画策することになる。かくして起きたのが「IBM産業スパイ事件」である。別の記事でも簡単に説明されているが、ここで対象になったのはIBMのPouhkeepsie工場で作られた、Adirondack Hardware Design Workbookという27巻もの非公開資料である。
非公開資料といいつつ、その大半はIBM Technical Disclosure Bulletinという書簡(これはIBMが開発した技術を、他社が先んじて特許などを取得してしまわないように、先に公開するというもの)や、さまざまな学会/国際会議で発表した内容だったりする。
そもそもAdirondack Hardware Design Workbookは、IBMが3081Kの開発にあたって、必要になりそうな文献を片っ端から集めてまとめた資料であり、必ずしも3081Kとは関係ないものも含まれていたようだ。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第894回
PC
AMD「Ryzen AI Embedded X100」のリアルタイムAI制御が、Jetsonの弱点であるCPU性能を突く -
第893回
PC
インテル製GPU「Crescent Island」の正体、容量480GBメモリーでエージェント型AIとKVキャッシュ問題に挑む -
第892回
PC
Hot Chipsで明かされた「Wildcat Lake」の全貌 Foverosを捨てMCPを選んだインテルの舞台裏 -
第891回
PC
謎多き次世代Xeon「Diamond Rapids」を解剖、3D Meshの進化と新命令セットAPXがもたらす変革 -
第890回
PC
Samsung「SF2P」の全貌! GAA最大の弱点であるPMOS性能低下を克服し、TSMC追撃へ準備万端 -
第889回
PC
なぜ巨大チップは歪んで壊れるのか? SK HynixのHBM4「MR-MUF」とTSMCのCoWoS-Lを襲う熱膨張の罠 -
第888回
PC
NVIDIA Rubin Ultra開発中止の真相! 180層CoWoS-Lの歪曲トラブルと、急造ラックNVL576に透ける苦肉の策 -
第887回
PC
AIなしではもはや限界 TSMCが明かすメモリー開発にAIが不可欠となった現実 -
第886回
PC
CFETの足を引っ張るPMOSを救え! imecが提案する新絶縁層と、あえて精度を緩める「Notch Alignment」の妙手 -
第885回
PC
TSMCも次世代「CFET」の全貌を披露! Forksheetスキップの背景と、世界最小6T SRAM実証で見えた2030年への布石 -
第884回
PC
Samsungが次世代CFETの試作に成功! IBMの10万ドル方式に対抗する、量産重視な「一括形成プロセス」のリアリティ - この連載の一覧へ











