このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

業界人の《ことば》から 第319回

パナソニック社長「あえて未完成品を世に出すべき」の真意は?

2018年11月27日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

くらしアップデートを実現するHomeX

 HomeXは、家電や住宅設備の機能を統合。クラウドを通じて各種機器を遠隔操作したり、さまざまな情報を提供したり、家族を理解しながら、一人ひとりのライフスタイルに合わせて、くらしをアップデートする家を実現するプラットフォームである。

 第1弾として、「HomeX Display」を発表。このディスプレーが家電機器や照明、シャッターなどと連動し、生活シーンにあわせて動作する。

 料理の際には、会話をもとに家族の好みやその日の気分を理解。天候や季節にあわせた最適なレシピを提案し、下ごしらえの仕方を動画でサポート。「調理をはじめる」というボタンを押すと家電と連携して、あとは自動的に調理してくれる。

 洗濯するときには家族の会話から泥汚れの子供が帰ってきたことを知り、予洗いなどの泥汚れに最適な洗濯方法を提案。泥汚れに最適な洗剤も提示する。

 台風が接近すると、風雨や飛来物、停電に備えて自動でシャッターを閉め、蓄電池に充電を開始。停電した際には、蓄電池から電気を自動的に供給する。

 「家電は使っている人に合わせるように、進化していく時代になる。サービスも活用している人に合わせて、更新され続けるようになる。

 家電や住宅設備は、購入したタイミングで最大の価値および機能を有しており、その後陳腐化してしまう。

 だがHomeXは購入後にアップデートして、それぞれの家族にとって、最適な家へと進化させることができる。完成品に仕立て上げるのは、使っている人。だから『あえての未完成品』でなくてはいけない。

 せっかく最新の家電を手にしても、新製品が出た途端に家電が古くなる。そんな時代は終えなければならない。

 人の気持ちや嗜好性と、タイミングを掛け合わせることで、これまでにない新たな体験価値を提供できるようになる。それが、HomeXで実現する世界だ」という。

くらしを良くしていきたい

 もうひとつ、津賀社長は「人の幸福から離れて、生き残る会社はない」と語る。

 「私たちは、人の幸福をつくるために存在している。たとえ小さくても、そこに生きる人たちのくらしをより良くするためのくらしを、多くの人たちとともに一緒に実現したい」と述べ、

 「失望させることがないように、パナソニックは常に前進していく。パナソニックは微力であるが、なにかしらの価値を提供できる会社であると私は感じている。もっとたくさんの会社と、未来について語り合い、切磋琢磨したい。人々がくらす社会をみんなでより良くしていこう」と語った。

 パナソニックの100年目の決意は、人の幸福をつくるために、人々のくらしをアップデートすることである。

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ