400台のロボットも2人で管理できる老舗RPA「Blue Prism」
AI Breakthrough Awards RPA部門で最優秀企業賞獲得
ファイザーの購買部門が導入 トータルで年間22万時間の削減を実現
Blue Prismの特徴はサーバー型のRPAで、幅広いシステムに対応していること。ウェブブラウザーはもちろん、メインフレームやSAP、Javaアプリケーションまで、操作を自動化できるのだ。
事例としては、請求書をOCRでデジタル化し、その後の処理をRPAで自動化するケースがとても増えているそう。そのほか、チャットボット上でエンドユーザーが住所変更リクエストを出したら、裏で顧客マスターのメンテナンス処理をするのにBlue Prismを利用するケースなどもある。
堅牢なセキュリティーも金融機関に評価されているポイント。たとえば、RPA業務のログを暗号化してデータベースに格納し、改ざんを防止している。「システム的に改ざん防止を担保できているのは、我々くらいしかないと思っています」と志村氏は胸を張った。
大量のロボットを動かし、集中管理するのもお得意だ。たとえば、グローバルな金融グループのHSBCでは1000台以上のロボットを動かしているという。400台のロボットを二人の担当者で管理しているケースもある。
「デスクトップ型RPAの場合はPC1台が1ロボットなので、エラーで止まってしまうと人が現場に来て復旧処理をして再稼働させる必要があり、工数がかかります。Blue Prismの場合はフローチャートでエラーが発生したら担当者にメールしたり、途中でエラーが起きてもそれだけ取り除いて最後まで処理を続けるということができます。そうすると人手がいらなくなります。そのため、夜中や土日も含めてスケジュールをギチギチに入れて高いパフォーマンスで運用できるのです」(志村氏)
ロボット開発は、フローチャートで作成・管理し、サーバーのコントロールルームで一元管理できるようになっている。プロセスとオブジェクトが分けられているのも特徴だ。
業務の流れはプロセスで定義するが、たとえば「SAPにアクセスしてログインする」という動作をアクションとして登録しておく。プロセスではこのアクションを読みに行けば、そのままログインできるというわけだ。
この方式のメリットは、SAPのログイン方法に変更があった場合、アクションを変更すればプロセスをいじる必要はない。そのアクションを100台のロボットが利用していても、一度の修正でまとめて対象できる。おかげで保守性が高まり、TCO(Total Cost of Ownership、設備に対しての総コスト)も抑制できるようになる。トレーニングメニューも用意されており、30時間ほどの学習で一通りのことができるようになるそうだ。
また同社はAI連携にも力を入れている。とはいえ、Blue PrismがAIのエンジンを開発するのではなく、すでに何千億円もAIに投資をしているパートナーとアライアンスを組んでいるのだ。特定企業の製品にこだわらず、顧客にはベストオブブリードで選んでもらい、Blue PrismはRPAの完成度を高める点にフォーカスしている。現在は、GoogleやMicrosoft、IBM、OCRであればABBYY、分析であればSplunkなどと連携できるアダプタを用意している。
AI関連の事例としては、ファイザーの購買部門が輸入業務でBlue Prismを利用している。紙の文書である輸入書類5種類をOCRでデジタル化し、GoogleのAIでチェックし、本来合致していなければならない項目を自動抽出するようにした。結局、最後は人がチェックするものの、一から人の手でやっていた頃と比べると、トータルで年間22万時間の削減を実現できたという。RPA屈指の導入効果と言えよう。