働き方改革EXPO、教育ITソリューションEXPO
VAIOが関西初出展、教育市場に攻勢かけるChromebookにも注目
企業導入で培ったIT技術を、教育現場に応用する
会場を歩いた感想としては、リモートワークやフリーアドレスといったワークスタイルそのものの変革と言うよりは、その前段階にある経理や勤怠管理など、バックオフィスのIT化・効率化といったより実践的なレベルでの提案が多いように思えた。
具体的にはクラウドを活用した経理システムや勤怠管理システム、RPAなどを使った自動化の提案などが挙げられる。東京での働き方改革EXPOでは、オフィス什器など働くスペースを改革する提案や、コミュニケーション、コラボレーション関連の展示が多く、少し温度感の違いを感じた部分だ。
その一方で出展企業の注力度合いを感じたのが、同時期に開催された教育ITソリューションEXPOだ。
教育現場のICT化には2つの側面がある。ひとつは「授業そのものの改革」と「児童・生徒が扱う端末の提供」。もうひとつが教員が授業時間以外に実施する「事務作業の効率化」だ。
前者は電子黒板やプロジェクターを使ったインタラクティブ性の提供、あるいはペン操作やタブレット内蔵カメラを使い、従来のノートに鉛筆で書く方法とは異なるやり方で課題を出し、理解を深めることが目的となる。後者は注目を浴びづらいが、学校でもオフィスワーカーと同じものが求められると考えていいだろう。
これに加えて、学校におけるITのインフラ面、つまりLANなどの導入のためには、多人数で一斉に同じ作業をする学校特有の要求がある。ネットワーク機器についてもそれに合ったスペックが求められる。
パソコンやタブレットの展示に力を入れていたのは、日本マイクロソフト、グーグル、デル、レノボ・ジャパンなどの外資系企業だ。マイクロソフトはSurfaceを中心に据え、時間軸に沿った活用法を紹介。ペンを使って学年を問わずに使える点やビデオや音声の再生が英語学習に有効な点などを、学び方・教え方・働き方の3つの視点で紹介していた。
その一方で、グーグルのほか各社はChromebookの低価格で堅牢な本体をアピールしていた。海外ではChromebookのシェアが非常に大きくなっており、教育現場のICT化の波に乗る形に一気に市場を広げたいと考えているのだろう。
企業導入で培ったIT技術を、教育現場に応用する
展示内容で目立ったのは、映像機器の活用だ。リコー、エプソン、電子黒板や書画カメラ、プロジェクターを展示。これらは企業で用いられている製品を学校でも展開するという面もあるが、教室などでの利用によりなじむ応用方法を提示しているのが特徴だ。
これ以外には、プログラミング教育や教室で児童・生徒が何を感じてどのような状態にいるかを知るために、ロボットを活用する提案も多く見られた。自分で組んだプログラミングによって物理的に機器が動くというのは直感的で、特に低学年の生徒のモチベーション維持につながりやすい。
全体を通して感じたのは、教育や授業の方法が変わるという側面に加えて、これまで企業で培ったIT活用の方法が、学校などの教育現場でも応用されつつあるという点だ。特に多忙な日々を送る、先生の働き方改革も教育現場のICT化には重要なポイントで、業務効率化や目的の明確化のためにできることを考える時期に来ている。