2018年10月24日、インテル株式会社は都内で会見を開き、2018年11月1日付けで鈴木 国正(すずき くにまさ)氏が代表取締役社長に就任すると発表した。鈴木氏は1984年にソニー株式会社に入社して以降、VAIO事業本部の本部長や株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(現・株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の副社長、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の社長兼CEOなどを歴任してきた人物だ。同社と鈴木氏はVAIO事業を担っていた頃からの縁がある。
なお、前・代表取締役社長 江田 麻季子氏が今年3月31日付けで退任し、その後暫定的な日本の事業責任者として同社の代表取締役社長を務めていたスコット・オーバーソン氏はインテル コーポレーション セールス&マーケティング統括本部に帰任する。
鈴木氏はこのたびインテル株式会社の代表取締役社長に就任することを決めた理由を3つ挙げた。まず1つ目が自身がソニーでVAIO事業を手掛けていた頃、インテルとは深いコミュニケーションができ、パートナーとして非常に魅力だったので自分もそこに溶け込めるのではないかと思ったこと。2つ目がここ5~6年でインテルが進めている構造改革が、ソニーで自身が経験してきたものとアウトラインが似ており、そこに貢献できるのではないかと思ったこと。
そして、3つ目が近年各国で叫ばれている「第四次産業革命」において、インテルの担う役割に魅力を感じたことだという。「第四次産業革命」は国や人によって捉え方がやや異なる向きがあるが、日本では「Society 5.0」という名前で政府が進めており、PCのみならずIoTにデータセンター、AIを活用し、より良い生活を目指す「超スマート社会」のことだ。
これまで「PC中心」(PC Centric)の会社だったインテルはここ数年、PCはもちろん、IoT、データセンター、AI、自動運転車、そしてそれらをつなぐ次世代ネットワーク「5G」といったエンドーツーエンドのサービスをより良い形で提供する「データ中心」(Data Centric)の企業(データカンパニー)へ移行しようと構造改革を進めてきた。鈴木氏はソニー時代に、PCやスマートフォン、PlayStation及びそのネットワークなど様々な製品やサービスに関わってきた自身のキャリアや経験で、その大変革に寄与したいと語った。
また、鈴木氏は「第四次産業革命」はほぼすべての企業あるいは政府、国に影響が出ることは間違いないと力強く主張。そして、シリコンバレーを象徴するインテルという企業で、ニュートラルな立場から信頼できるアドバイザーとして、様々な企業のお手伝いがしたいと述べた。
データセンター向け事業では好調のインテル コーポレーションだが、PC向けCPUでは競合の復活、設計の見直しで遅れている10nmプロセス、CEOの辞任(現在はCFOのロバート・スワン氏が暫定CEOを務めている)、まだまだ競合と火花を散らしている次世代のIoTやAI、5Gビジネスなど、依然さまざまな課題を抱えている。そんな中で推し進められている大変革に対し、同じビジョンを持てる新リーダーを日本のヘッドクォーターであるインテル株式会社の長に据えたということだろう。鈴木氏の手腕に注目が集まる。
<鈴木 国正氏の略歴>
1984年 ソニー株式会社 入社
1994~1999年 ソニーアルゼンチン 社長
1999~2007年 VAIO事業本部 GVD(Global VAIO Direct)プレジデント、副本部長(2006年~)
2007~2008年 コンスーマープロダクツ グループ商品事業戦略室 室長
2008~2009年 ソニー・エレクトロニクス・インク(米国)EVP
2009~2011年 VAIO事業本部 本部長(業務執行役員 SVP)
(兼)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)副社長
2009~2014年 UX商品戦略&Creative Platform
2012~2014年 ソニーモバイルコミュニケーションズ 社長 兼 CEO
2014~2017年 ソニー株式会社 執行役員 兼 ソニーエンタテインメント EVP
2018~現在 ソニー生命保険株式会社 理事
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