クラウド型の帳票OCRサービス、業務システムへのデータ投入自動化や導入支援組織設立など多数の強化点
日本語手書きOCR対応&RPA連携も強化、PFUが「PSCS」新版
2018年10月15日 11時00分更新
PFUは2018年10月15日、今年4月に発売した帳票スキャン画像のクラウド型OCRサービス「PFU Smart Capture Service(PSCS)」の新版(Ver.1.1.0)リリースと、大幅な機能強化を発表した。「RPA連携ツール」などの追加でスキャン後のデータ登録プロセス自動化を推し進めたほか、日本語手書き文字への対応も含むOCRの読み取り精度向上、さらに顧客業務へのOCR導入をサポートする新組織設立などが行われた。
PFUでは今年4月、新たなクラウドサービスとしてPSCSの提供開始を発表した。スキャナなどで生成された帳票などの紙文書の画像をPSCSにアップロードすると、PSCSが自動的に画像補正/帳票識別仕訳/OCR/確認修正の処理を行い、紙文書の内容をテキストデータ(CSVデータ)として出力するというサービスだ。
PFUによると、4月のPSCS発表以後300件以上の問い合わせがあり、すでに50件以上のトライアルサービスを実施した。その中で得られた顧客企業からの機能追加ニーズに基づいて、今回のアップデートでは「キャプチャ機能の強化」「オペレーションの自動化」「導入サポート体制の構築」という3つの機能強化を図っている。
キャプチャ機能の強化ではまず、日本語手書き文字のOCR読み取りに対応した。帳票のマス目に従って手書きされた固定ピッチの文字、マス目のないフリーピッチの文字のいずれにも対応する(前者のOCRエンジンにはPFUの「DynaEye」を、後者にはCogent Labsの「Tegaki」を採用)。また、スキャナ製品の提供で培った独自技術を適用し、文字読み取りの妨げとなる画像のノイズ(文字に重なった印影や網掛け、反転文字)を自動除去し、OCRの文字認識精度を向上させた。
さらに、あらかじめ対応している帳票(事前定義済み帳票)の種類も、これまでの5種類(見積書、請求書、納品書、注文書、INVOICE)から8種類に拡大(仕入伝票、支払依頼書、請求書明細を追加)している。
オペレーションの自動化では、同社の業務用スキャナ「fiシリーズ」を接続したPCにインストールし、帳票画像のアップロード/OCR処理済みデータのダウンロードを自動化する「PSCSクライアント」と、OCR処理済みデータをRPAツールに渡す前にデータ加工を「RPA連携ツール」という2つのソフトウェアを無償提供する。これにより、スキャナの読み取りボタンを押すだけで、帳票内容のデータ化と業務システムへの登録というプロセス全体が自動化できる。
なお今回、PSCSのAPI仕様も公開されており、顧客業務システムからPSCSを直接操作したり、直接データを取り込んだりすることもできる。また、今年9月に発売したインターネット接続可能な業務用ドキュメントスキャナ「fi-7300NX」は、直接PSCSに接続し、帳票画像をアップロードする機能も備えている。
加えてPFUでは、顧客におけるPSCSの導入をサポートするために「帳票チューニングセンター」と「RPAサポートセンター」を新設した。帳票チューニングセンターは、事前定義済帳票以外の個別帳票を顧客から入手して、対応(定義)やチューニングを行う専門組織。またRPAサポートセンターは、顧客が導入済みのRPAツールとPSCSとのデータ連携、もしくはOCR+RPA環境の新規導入をサポートする組織となる。
PSCS新版は2018年11月から提供を開始する。利用料は処理枚数や帳票形式、OCR対象項目数などにより異なる(年間4万ページを処理する場合の概算利用料は年額およそ100万円)。また、日本語手書きOCRについてはオプション扱いとなり、利用開始時の初期費用がかかる。
PFUでは2018年度末までのキャンペーンとして、顧客帳票(2種類まで)のチューニングを無償化するサービスを実施する。関連サービスを含め、今後3年間で売上60億円の販売目標を掲げている。