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最新ユーザー事例探求第52回

当初からインターネットのみ、今年は運営効率化にFileMaker CloudやiPhoneも採用。事務局担当者に背景を聞く

IT活用の「コンパクトな大会運営」20周年、宮崎シーガイアトライアスロン

2018年10月10日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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今年はFileMaker Cloudを利用してカスタムアプリをホスティング

 FileMakerで開発したこの大会事務局向けシステムも、5年前から毎年、少しずつ改良を重ねてきている。今年の大会でもいくつかの“バージョンアップ”が行われた。

 大きな改良点としてはまず、大会前日/当日のホスティングにFileMaker Cloudを採用したことが挙げられる。昨年まではAmazon Web Services(AWS)クラウドにインスタンスを立て、FileMaker Serverをホスティングしていたが、それよりもさらに効率的になったと蜷川氏は説明する。

 「FileMaker専用のインスタンスがすぐに立てられますし、使用料にFileMakerのライセンス料も含まれていますので、とくに今回のようなイベントの(一時利用の)場合はコストの切り分けが容易になります。まさに“使ったぶんだけ”払いができますね」(蜷川氏)

 徳留氏もまた、FileMaker Cloudの採用でコスト的に助かっていると語る。エントリー受付から大会までの数カ月間はローカル環境でFileMakerのカスタムアプリを使い、大会前日と当日の2日間だけ同じアプリをクラウドで共用する。新たに使い方を覚える必要のないシンプルさも魅力だろう。

 また、今年は受付端末のiPhoneや大会事務局用端末のiPadを、LTE回線でインターネット接続した。過去の大会ではWi-Fi接続で利用しており、そのために屋内/屋外の複数箇所にアクセスポイントを設置する必要があったが、その必要がなくなり受付作業の場所も柔軟に移動できるようになった。なお大会当日はあいにくの雨模様だったが、防水モデルのiPhoneを使っていたため、屋外での受付業務も問題なくできたという。

今年の大会では受付端末のiPhoneを15台、事務局用端末としてセルラーモデルのiPadを4台利用した

 ほかにも大会当日の屋外受付で改善されたポイントがある。受付業務に使う二次元バーコードは参加通知証に印刷しているが、レース当日の選手が紙の参加通知証を持ち歩くのは不便であり、実際に持ってこない選手も多かった。だが、慌ただしいレース当日の受付でも、できればバーコードスキャンで処理できるようにしたい。

 解決策を探っていたところ、レースタイムの計測会社が各選手のゼッケンや荷物バッグに貼付するバーコードシールを配布していることに気づいた。調べてみると、大会事務局が発行する二次元バーコードと同じく、選手のエントリー番号をバーコード化したものだった。そこでスプラッシュでは、二次元バーコードと通常のバーコードの両方を読み取れるように受付用アプリを改修した。「結局は何も困らず対応ができて、万々歳でしたね」(蜷川氏)。

これからもITを活用したコンパクトな大会運営を改良し、続ける

 大会前日/当日に合計4回行う受付業務は、すべて高校生中心のボランティアに任されている。ただし、ボランティアが集まるのは大会前日/当日の受付開始直前であり、受付業務の方法をレクチャーできるのはごくわずかな時間しかない。

 「集まったボランティアに『ふだんiPhoneを使ってる人は手を挙げて』と呼びかけ、手を挙げた人には率先して受付をやってもらうようお願いしました。アプリのインタフェースがわかりやすく出来ているので、しばらく触っているうちに使い方を覚えて、あとは自主的にやってくれましたね」(徳留氏)

 蜷川氏も、カスタムアプリの開発にあたってはできるだけ、ボランティアスタッフがわかりやすい、使いやすいものになるよう心がけたと語った。たとえば、前述した総合受付→選手説明会受付という受付順序のルールも、それに従っていなければアラートが表示されるようにしている。

 「きっと徳留さんがアプリの使い方を詳しく説明するのだろうと思っていたのですが、大会当日は徳留さんも忙しく、5分くらい説明したらもういなくなってしまって(笑)。それでもボランティアの皆さんが、誰に教わらずとも直感的に使いこなしていたのでびっくりしました」(蜷川氏)

* * *

 今年、20周年の節目を迎えた宮崎シーガイアトライアスロン大会。徳留氏はこれからの取り組みについて、引き続きITを活用したコンパクトな大会運営を追求していきたいと語る。たとえば受付業務においても、時間帯別の受付人数を分析することで、より効率的な人員配置や対応を可能にしていくといった構想があるという。また、計測会社のレースタイムデータと連携することで、何か新しいことができるかもしれないとも語った。

 「実は、IT業界の方には経営者をはじめ、たくさんのトライアスリートがいらっしゃいます。宮崎シーガイアトライアスロンが“ITを活用している大会”として話題になれば、参加してみようという方がさらに出てくるかもしれません。そこにも大いに期待していますよ(笑)」(徳留氏)

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