最新パーツ性能チェック 第237回
大型空冷のファンなし運用でもイケた!
「Athlon 200GE」はPentiumにGPU性能で勝るライトユースの決定版だ
2018年10月24日 11時00分更新
ファンレス駆動に挑戦
Athlon 200GEの絶対的な性能は価格なりといったところだが、7000円で買えるCPUとしては非常にコスパが良いといえる。
ではTDP35WのAthlon 200GEは、どの程度発熱するのだろうか? TDP35Wなのだから大型空冷クーラーを組み合わせれば、ファンレス運用もできるのではないか?
そこで今回は、Thermalright製のサイドフロークーラー「Macho 120 Rev.A」を装着、ただしCPUクーラーのファンは接続しない状態で動かしてみた。テスト環境はバラック組みであり、室内はエアコン(27℃設定)で起こる気流はあるものの、PCには直接当たらないという環境に置いてみた。
まずAthlon 200GE付属のクーラーの性能計測も兼ねてOCCTのPower Supplyテストを約30分回してみた。CPU温度は「HWiNFO」で“Tctl/Tdie”の値を追跡した(Ryzen上位モデルと違い、Tdieにオフセット値を加えてTctlにする仕様ではないのだ)。ファンありが純正クーラーを使用した場合、ファンなしが「Macho 120 Rev.A」を取り付け、ファンなしで動かした場合の推移だ。
さすがTDP35Wだけあって、あの小さなリテールクーラーでも50℃台にとどまる。ファンレスにするとさすがに91℃まで上昇するが、温度上昇カーブは非常に緩やかで、負荷開始から17分経過しないと90℃に到達しない。
下のグラフは、「Macho 120 Rev.A」のファンなしでOCCTのテスト実施前と後に10分程度のアイドル時間を入れて計測したものだ。
システム起動直後だとアイドル時で30℃台前半、負荷を解除した直後は70℃弱だが、ゆるやかに50℃以下へ下がっていく。Macho120でも完全ファンレスとするにはやや物足りないが、上手くファン停止のできるマザーボードと組み合わせることで小型でも超静音PCが組めるだろう。
ファンレス運用PCで思いつくのは動画鑑賞PCだ。Athlon 200GEでもYouTubeの4K動画は特別フレームドロップなく再生することができた。ついでに再生中のCPU温度とCPUクロックの推移も追跡したのが下のグラフだ。
ファンレスでの再生でも、温度は40℃台前半で安定している(終盤急激に下がったのは再生が終わったため)。これならファンレスに近い状態でも動画再生用PCとして運用できそうだ。
まとめ:コスパは抜群。この商機を活かすことができるか?
以上でAthlon 200GEの簡単なベンチマークは終わりだ。Pentium Gold G5500に比べCPUの絶対的なパワーには劣るものの、ライトな作業には問題ない程度の性能は持っている。そしてその分若干GPUをリッチにしたCPUと考えれば、コスパは非常に良い。CPUパワーはPentiumに一歩譲るところがあるが、CPUパワーをライトユースに十分な性能に抑え、その分GPUパワーに“リバランス”した製品になったと言えるだろう。
720pとはいえなんとかPCゲームが遊べる程度なので、Athlon 200GEがピッタリはまるのは、動画鑑賞用PCを組みたいとか、TV録画PCを今どきのハードにしたいとか、低負荷でトロトロ回すような用途だろう。もちろんSNSや調べ物用といった典型的“ライトユース”向けだ。
さて折しもインテル製CPUは世界的にショート気味になっている。10nmプロセスへの移行に陰りがさし、現行14nmプロセスにとどまる決断をした結果でもある。このAthlon 200GEは名実ともにPentium市場を奪える絶好のCPUなのだ(もちろんRyzenもCore iキラーであるが)。また、よりCPUパワーが必要であれば4500円ほど追加し、Ryzen 3 2200G(実売1万2300円前後)を購入すれば、CPUだけでなくGPU性能も向上。低価格ながら、よりゲームをリッチな設定でプレイできる。
この商機をいかに活かし、シェア拡大に繋げられるか? 今インテルが有効な対抗手段を持たぬ今、AMDは今攻勢に出るべきだろう。AMDのこれからの頑張りに期待したい。
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