東日本大震災の教訓生きた
今回は2011年に起きた東日本大震災の教訓が生かされたようで、各キャリアの災害対策がある程度機能していたように思う。
たとえば、街中でスマホに向けて電波を飛ばす基地局にはバッテリーが備わるようになり、停電しても数時間は電波を飛ばし続けられるようになっている。NTTドコモでは24時間、稼働できる準備をしているとのことだ。
実際に北海道の地震でも、キャリアによって違いはあれど、数時間程度は基地局が稼働し続けたようだ。
東日本大震災のときはまだバッテリーを備えた基地局は限られていたが、その後、バッテリーを常設する基地局が増えたことで、今回のような大規模停電があっても数時間は耐えることができた。
またNTTドコモでは、今回初めて、9月6日午後4時26分より釧路市内の一部エリアで大ゾーン基地局を稼働させた。
大ゾーン基地局とは、半径7キロ程度のエリアに電波を飛ばすもの。本来、基地局は都心部であれば、半径数百メートル程度で置かれていたりするが、それぞれの基地局に電力が供給されないと電波を飛ばすことができなくなってしまう。
そのため大ゾーン基地局は、そうした複数の基地局が使えなくなってしまっても、広い範囲で電波を飛ばせる基地局を準備しておくことで、通信を維持していくものになる。
1つの基地局で広い範囲をカバーするため、通信速度が遅いなどの弱点なども存在する。しかし、通信速度よりもまずは通信を確保するという考えから、NTTドコモでは全国に大ゾーン基地局を整備してきたのだった。
これも東日本大震災の際、津波で基地局が大量に流されてしまった教訓が生きている。
この連載の記事
-
第197回
トピックス
なぜソフトバンクやKDDIのネットワークは強いのか 「2.5GHz帯のTD-LTE」最強説 -
第196回
トピックス
F1の裏に“レノボ”あり 500TBのレースデータを高速処理 -
第195回
トピックス
格安スマホ、キャリアより「シンプルで安い」とふたたび注目 -
第194回
トピックス
中国スマホメーカー、日本への攻勢強める 格安折りたたみスマホで勝負 -
第193回
トピックス
ドコモが狙う“スマホの次“ iPhoneから「Vision」の時代へ -
第192回
トピックス
KDDI「povo」世界進出へ “黒子に徹する”新ビジネスとは -
第191回
トピックス
スマホ基地局を安くする ドコモとNECが世界展開する「オープンRAN」とは -
第190回
トピックス
KDDI対ソフトバンク “快適な5G”競争に本気出す -
第189回
トピックス
ドコモはユーザーの期待を裏切らないよう、品質改善に資金をつぎ込んでいくべきだ -
第188回
トピックス
楽天・三木谷氏、モバイルの次は“AI” アマゾンとの違い強調 -
第187回
トピックス
能登半島地震、携帯キャリア“異例”の共同会見 ライバル同士が手を取り合い、復旧活動する時代に? - この連載の一覧へ