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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第227回

グーグルが躍進したスマートスピーカーの現状と「声」のインターフェイスデザイン

2018年08月23日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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スマートスピーカーにディスプレイが付いたら、そもそもスマートディスプレイ!? さらにカメラも付いているとなると、プライバシーが漏れないかどうか、ユーザーが心配に感じるのは無理もないと言えます

 皆さんはスマートスピーカー、使っていますか?

 スマートスピーカーは、2014年にAmazon Echoが発売されて市場が拡大する一方、2017年はGoogle Homeが躍進し、また2018年にはApple、Samsungも参入しています。

 AmazonとGoogleは人工知能アシスタントを他社スピーカーにも導入できるようにし、スピーカーメーカーは自分でAIを作らなくても、特色ある「スマートスピーカー」を発売することができるようになりました。

 7月に注目されたのは、Wi-Fiに対応するスピーカーに早くから取り組んできた米国の新興オーディオ企業、SONOSが株式公開したことです。手頃な価格とシンプルなデザイン、こだわりの音質、こなれたWi-Fi接続機能に、Amazon AlexaやGoogleアシスタント、Apple AirPlay 2への対応を果たしています。

 Appleのスマートフォンを使っている筆者も、スマートスピーカーはHomePodではなくSONOSで揃えて置いた方が便利という状況は、以前連載でもご紹介した次第です。

グーグルが躍進した最新のシェアから見えてくること

 Statistaは、最新のスマートスピーカーマーケットのシェアをまとめています(https://www.statista.com/chart/13931/smart-speaker-shipments/)。これによると、2018年第2四半期の各社のシェアは以下のとおりになっています。なお、カッコ内は1年前の数字です。

Amazon:41%(75.8%)
Google:27.6%(16.1%)
Alibaba:7%(なし)
Apple:5.9%(なし)
・その他:18.5%(8.1%)

 1年前はAmazonが独占的に支配していたスマートスピーカー市場でしたが、Googleの躍進でシェアが50%を割り込みました。

 市場規模は、1年前の2017年第2四半期の390万台から1170万台に増加し、1年でちょうど3倍に成長しています。そのため、Amazonは295万台から479万台、Googleは63万台から323万台へと、ともに販売台数を大きく伸ばしています。

 Googleは大きく成長しているわけですが、Amazonが失ったシェアのすべてがGoogleに行ったわけではなく、AlibabaやApple、あるいはその他のメーカーを伸ばしています。AppleのHomePodは349ドルとスマートスピーカーの中では高い価格で登場しましたが、69万台を販売したとみられています。

 現在注目されているのは、Google、Amazonが手を出せていない中国市場に取り組んでいるAlibabaです。中国で独自に発達したチャットアプリやモバイル決済のように、スマートスピーカー市場において、文化にフィットする地位を確保する可能性を十分に持っていると考えていいでしょう。

今の課題はセキュリティ懸念をいかに払拭するか

 現在、スマートスピーカーはディスプレイ付きのモデルへとシフトしつつあります。もう、「スピーカー」ではなく「スマートディスプレイ」ですよね。テレビよりも小さく置く場所が自由になり、映像による情報やエンターテインメント、コミュニケーションを実現するデバイスとして注目されます。

 特に手が離せないキッチンは本当にベストな場所ですよね。最近のスマートフォンは防水化されていますが、それでもキッチンにあるスマートディスプレイは便利です。声でタイマーをセットしたり、レシピを表示させたり、電話に出たり、かけたり。

 キッチンにラジオが置いてある感覚で、それがスマートディスプレイに置き換わったと考えるとわかりやすいのかもしれません。

 しかし、米国ではスマートスピーカーに対して、セキュリティ面でのアレルギーが強く出ています。誤動作との見方が強まっていますが、夫婦の会話の内容をAmazon Echoが知らないうちに友人に送信していたという話は、米議会の委員会でも主要テクノロジー企業に質問状を送るなど、深刻に受け取られました。

 またスマートディスプレイにはカメラがついており、ビデオチャットに対応しますが、Amazonとカメラの組み合わせ自体への懸念も高まりました。

 Amazonがクラウド上で実現している捜査当局向けの顔認識エンジン「Rekognition」についても、プライバシーや人権侵害と言った問題を引き起こしています。特に、白人以外の有色人種に対する検出にバイアスがあるとして問題になったからです。

 細かく見ていけば、それぞれは別個の事象や問題ではありますが、スマートスピーカー、スマートディスプレイは「自宅」という個人の最もプライベートな場所に入り込むことから、問題に対して過剰反応している様子が見受けられます。

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