●被災したオフィス
取引先に到着した私が車から一歩踏み出すと、アスファルトの上で層になった粘土質の地面に足が沈みました。
気分的にも重い足取りのまま水圧で割れた窓ガラスや押し流されて倒れた什器類を踏み越え、水を吸って膨張した天井の石膏ボードが自重で落下し、床で砕ける様子を間近で見ながら、1階業務フロアで泥に埋まったノートPCを発見。
2階のサーバを確認したところ、床上に浸水跡はあったものの、サーバ本体までは水が達していませんでした。電気設備がやられて停電した後、UPS(無停電電源装置)のオートシャットダウン機能によってシステムが自立停止していたため、データの欠損なども見られませんでした。
幸いにもこの取引先のサーバは無傷で生還しましたが、それは「2階にサーバがあったから」で、残念ながら泥水から引き上げられた1階の端末は全滅でした。
報道映像でご覧になって気づいた方も多いと思いますが、古い町並みが多く残る倉敷市真備町は、その建物のほとんどが2階建て以下。事務所の多くは1階で業務をしていました。つまり、2階のベランダ以上の高さまで沈んだ地域のほぼすべての事務所が、業務システムを失った状況にあるわけです。
私がチェックした端末のうち「水没したPC」は合計16台ですが、HDD内部への浸水を逃れてデータを取り出せたのはわずか2台しかありませんでした。
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