投信や外貨預金などの販売でコンプライアンス遵守と業務効率化を支援「しんきん預かり資産ナビ」
キヤノンMJ、信用金庫向けのクラウド型投資商品販売支援システム
2018年06月29日 13時00分更新
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は2018年6月29日、全国の信用金庫を対象とした投資商品販売支援システム「しんきん預かり資産ナビ」を7月2日より提供すると発表した。投資信託や外貨預金などリスク性金融商品の販売プロセスを横断的に管理ができ、クラウド型の共同システムとして低コストで導入可能にすることで、“ゼロ金利時代”に新たな収益源創出を求める信用金庫のビジネス成長を支援する。
キヤノンMJでは2007年に、金融商品取引法に対応した投資商品販売支援システムを名古屋銀行と共同開発。さらに2010年には信用金庫対応版システム「預かり資産セールスナビ」を開発し、埼玉縣信用金庫など複数の信用金庫に導入してきた。金融商品取引法では、投資商品を購入する利用者の保護を目的として、事前同意や商品説明、契約処理、監査などに細かなルールが定められており、同販売支援システムでは一連の販売プロセスに対する情報集約とチェックを行うことで「コンプライアンス遵守」と「業務効率化」を実現する。
今回のしんきん預かり資産ナビは、キヤノンMJがこうした販売支援システムの個別開発において培ってきたノウハウを生かし、信用金庫の中央金融機関である信金中央金庫の協力のもとで開発したシステム。クラウド型の共同システムとして提供することで大幅に導入/運用コストを抑え、全国の信用金庫への採用を目指す。なお同システムは、FISC(金融機関のシステム安全対策基準)に準拠したキヤノンITソリューションズの西東京データセンター、沖縄データセンターを利用して提供される。
基本機能として、顧客情報の収集や顧客ニーズの特定、シミュレーションといった「プレセールス」から、具体的な商品説明と契約を行う「セールス」、注文情報の登録などの「約定処理支援」、内部/外部監査などに対応する「モニタリング/監査」といった、信用金庫内における一連の販売/事後プロセスをカバーする。特にセールス現場においては、提供されるシステム画面のナビゲーションに沿って説明や契約の処理を進めることで、法的ルールの遵守漏れを防ぐことができる。さらに入力/チェック項目は金融機関ごとに設定することができるため、個々の信用金庫が定める独自ルールにも対応する。
コンプライアンス遵守や業務効率化の機能に加えて、「営業力強化」のための機能を提供するのも特徴となっている。たとえば、顧客への最終訪問日時などに基づいて担当営業者にアフターフォローを促す機能、ヒアリング情報などを総合して顧客の資産状況や資産割合などを可視化する機能などを備える。
またオプションとして、ファイナンシャルプランニングサービス会社のノースアイランド(Know's i-land)と時事通信社との提携によるコンサルティング支援機能も用意されている。たとえば代表的なライフイベントに応じた資産運用シナリオや、最新のファンド情報に基づく商品購入シミュレーション、顧客アンケートに基づいた投資商品の絞り込みといったコンテンツ/機能を提供するもの。また外部のCRMや営業支援ツールとの連携、カスタマイズもオプションとして提供する。
しんきん預かり資産ナビの税抜価格は、初期費用(導入準備、ソフトウェアライセンス、回線などの費用を含む)が208万円、月額費用(システム利用料、回線費用含む)が8万円から。月額費用は、システムを利用する取引1案件ごとに加算される従量課金制となっている。販売開始は7月2日。
キヤノンMJによると、提供開始と同時に4つの信用金庫でパイロット導入がスタートすることが決まっている。さらに、導入検討中の案件もすでに20~30あるという。