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タブレットのカメラで撮影した書類をOCRでも読み取りやすく、「Mobile Captureソリューション」

大手生保3社が採用、キヤノンMJが紙書類のキャプチャ技術提供

2018年05月29日 13時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は2018年5月29日、タブレット端末の内蔵カメラを活用し、紙書類などをOCR処理にも適した明瞭な画像としてキャプチャできる「Mobile Captureソリューション」を発表した。すでに大手生命保険3社(日本生命、第一生命、住友生命)での採用が決定しており、さらに今後、保険や金融、製造、流通など多様な業種の大手企業に対し、業務プロセス変革のためのツールとして提案していく。

「Mobile Captureソリューション」が提供する機能

 キヤノンMJでは、膨大な帳票/紙書類を扱う金融機関などを中心として、「非定型帳票対応OCR」「手書き AI OCR」といったOCRソリューションのほか、ドキュメントスキャナや複合機、文書管理システムなどのドキュメントソリューション、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を提案/提供してきた。今回のMobile Captureソリューションは、こうしたドキュメント関連ワークフローのデジタル化をさらに促すものとなる。

 生命保険業界では近年、営業職員(保険外交員)の業務にタブレット端末を導入して、業務フローを電子化する動きが進んでいる。かつては紙として扱われていた保険提案書の発行や申込書への記入も、現在はデジタル化により効率化されている。

 ただし、査定業務で必要となる健康診断書、本人確認書類、医療領収書などの回収は、生命保険会社自身が発行するものではない非定型帳票を扱うことになるため、顧客(契約者)から紙書類を預かって持ち帰り、スキャンするなどのワークフローを取らざるを得なかった。紙書類を預かることで紛失リスクが発生するほか、事務処理の開始までにタイムラグも生じ、また書類返却の手間もかかるため、この業務のデジタル化が残る課題となっていた。

生命保険業界では、業務タブレットの導入により大幅な電子化が進んでいるが、顧客から「書類を預かる」フローが解決できていなかった

 さらに、これまでも一部ではモバイル端末のカメラを使って書類撮影を行うことで効率化を図ろうとしたケースもあったが、現場職員が撮影に慣れておらず手ぶれが生じたり、現場環境の明るさが均一ではなかったりして、OCR読み取りが難しいという課題もあった。

 今回のMobile Captureソリューションでは、視認性が高く、OCRでも精度の高い読み取りが実現する書類画像を提供する。カメラを起動してタブレットをかざすだけで書類の四辺を自動検知し、手ぶれがなく十分な紙面サイズになったところで自動的にシャッターが切られる(オートシャッター機能)。さらにキヤノンの持つ画像補正技術を適用し、撮影画像からの書類部分の切り出しや台形補正、影の除去、コントラスト調整を自動で行う(カメラ画像補正機能)。これによって誰でも簡単に、その後の業務やOCR処理に活用できる書類撮影ができ、ワーフクローのペーパーレス化が促進される。

さまざまな環境下で撮影される画像にキヤノンの補正技術を適用し、人にもOCRにも読み取りやすい書類画像を提供する

 Mobile Captureソリューションは、実際には各社が利用する業務アプリケーションに組み込まれるエンジンとして提供される。個別システム開発費込みの価格(税別)は1000万円から。6月1日より提供を開始する。

 キヤノンMJでは今後、生命保険だけでなく損害保険、金融、さらに流通や製造といった幅広い業界への展開を進める。オートシャッター機能/カメラ画像補正機能により、納品書などの紙書類/伝票類だけでなく、製品シリアルナンバーの記録など、これまで人間の目視と手作業での転記で処理していた業務をカメラで置き換えることが可能になるとしている。

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